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介護職員

不足に地域差 充足率、4府県8割未満 2025年度推計

 団塊の世代が全員75歳以上になる2025年度に、必要とされる介護職員数に対し確保できる見込み数の割合(充足率)は、都道府県による地域差が大きいことが厚生労働省の推計に基づく分析で判明した。

     最も低いのは福島、千葉の74・1%で、必要な職員数の4分の3に届かない見通し。充足率が最も高い山梨の96・6%と20ポイント以上の差があった。全国平均は86・2%。100%確保できるとした都道府県はなかった。

     担い手が適切に確保できないと、地域によっては高齢者が十分な介護サービスを受けられない恐れもある。介護職員は低賃金や重労働といったイメージから敬遠されがちで、このままでは将来も深刻な人手不足が避けられない。厚労省は「高齢化が進んで介護ニーズが増え、職員はさらに必要。処遇改善など総合的な対策で人材を確保していきたい」としている。

     職員不足を単に人数ベースで見ると人口規模の大きい首都圏などが上位となるが、介護の需要と供給の開きを把握するため、都道府県の報告を基に充足率を比較した。

     福島、千葉に次いで低いのは京都(79・3%)、沖縄(79・4%)、兵庫(81・2%)などの順。福島は東日本大震災の影響でニーズの増大に職員確保が追いつかず、千葉のような大都市部では他の産業と人材の奪い合いになるのが主な要因とみられる。充足率が高いのは山梨を筆頭に、佐賀(95・7%)、島根(94・4%)、鹿児島と熊本(いずれも94・1%)が続いた。

     16年度時点の介護職員は全国で約190万人。厚労省の推計では、25年度には約55万人増の約245万人が必要で、対策を急がないと全国で約33万7000人が不足する。

     ホームヘルパーや介護施設職員の平均給与(賞与込み)は月26万7000円で、全産業平均より10万円以上低い。厚労省は処遇改善のほか、人手不足に備えて介護ロボットや情報通信技術(ICT)の活用、外国人材の受け入れ環境整備にも取り組むが、実効性は未知数だ。

    予防重視の県も

     7年後、介護職員は必要人数の86・2%(全国平均)しか確保できず、地域によっては70%台にとどまる。そんな推計が明らかになった。自治体は「給与が安い」「労働が過酷」といった介護業界のマイナスイメージの払拭(ふっしょく)に力を注ぐ。介護予防を重視してサービスの需要を抑え、必要な人手を減らすよう工夫する地域もある。

     必要な職員数に対し、確保できる見込み数の割合(充足率)が74・1%と最も低い福島は2025年度、介護職員が4万1675人の需要に対して3万898人しか確保できない見込みだ。県の担当者は「東日本大震災の影響が大きい」と分析する。震災後の避難生活で単身や夫婦のみの世帯になって家族介護ができなくなったり、体を動かす時間が減ったりして、介護ニーズが今後増えることが予想されるという。

     同じく充足率74・1%の千葉は、介護職員の有効求人倍率が4倍を超える。介護職員を養成する大学や専門学校が11校あるが、入学者は減少傾向が続く。親や教師が「介護の仕事は大変だから」と進学に反対するケースも目立つという。

     ワースト3位の京都は大学が多く、介護や社会福祉を学ぶ学生は多いが、近年は就職活動が売り手市場で、条件の良い一般企業への就職が目立つ。将来の人材確保が難しくなるとして、府は人材育成に積極的な事業所の認証制度を13年度に創設した。「志を持つ学生や若者が安心して働ける業界であることを示すことが狙い」と担当者。

     充足率が96・6%と最も高かった山梨は、健康上の問題で制限されずに日常生活を送れる「健康寿命」が16年に全国で男性1位、女性3位。市町村が介護予防事業に熱心なことが背景にあるとみられ、県は「25年度の介護サービス需要を抑える要因にもなっているのではないか」と分析する。

    自治体の努力欠かせず 対面ケア充実へ工夫を

     超高齢社会の2025年度が目前に迫っている。手をこまねいたまま介護サービスを支える職員を確保できなければ、「介護難民」となる高齢者が各地で続出しかねず、地域の努力が欠かせない。

     寝たきりで重度の人が多いほど、介護職員の数も必要になる。市町村の介護予防事業で健康な高齢者を増やしたり、地域での見守りに力を入れたりすることが、問題解決の近道になりそうだ。

     介護の仕事が敬遠される一番の要因は低賃金だ。いくらやりがいがあっても、待遇面で就職や転職のときに選択肢から消してしまう人も多い。政府はさらなる処遇改善を進める必要がある。

     煩雑な事務作業が現場の負担になっているとの批判も根強い。

     対面でのケアに多くの人材と時間を割けるよう、人工知能(AI)などをうまく活用することが望まれる。


     ■ことば

    介護職員の人手不足

     高齢者が増加する一方で低賃金、重労働といったイメージが広がり、慢性的な人手不足が続いている。厚生労働省が5月に公表した推計では、2025年度に約33万7000人不足する恐れがある。都道府県別では、東京が3万4665人と最も多い見通し。

     他業種との賃金格差解消に向けた処遇改善策として、政府は15年に最大で1人当たり月平均1万2000円、17年からはさらに同1万円引き上げ。19年10月からは勤続10年以上の介護福祉士に対し、給与を月平均8万円増やす予定だ。

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