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社説

トランプ・プーチン会談 世界の懸案が置き去りに

 結局、2人の大統領のための会談だったように思える。ヘルシンキで1年ぶりに開かれた米露首脳会談は初の本格会談だったが、世界が歓迎できる具体的成果には欠けた。

     皆無だったわけではない。両首脳が冷戦後最悪とされる米露関係の改善をめざし、核軍縮条約の継続協議で一致したのは朗報と言えよう。

     会談後の共同記者会見でトランプ米大統領自身が語ったように、米露の建設的な対話は両国のみならず世界の利益に資するからだ。

     だが、シリア内戦や北朝鮮の核問題、イラン核合意からの米国離脱といった重要問題で、果たして「建設的な対話」が十分に行われただろうか。とてもそうは思えない。

     時間が割かれたのは、ロシアが2016年の米大統領選に不正な手段で介入したとされる問題だった。

     共同会見でプーチン露大統領が介入を否定したのは当然としても、トランプ氏が米国の捜査を「魔女狩り」と呼び、冷たい対露関係が続いたことについて「我々はみな愚かだった」と語ったのには驚いた。米大統領とは思えぬ発言である。

     米司法当局は先週、疑惑に関連して露軍情報部の当局者12人を起訴したばかりだ。モラー特別検察官による疑惑捜査がトランプ氏に及ぶかどうかはともかく、ロシアの介入の事実を否定するのは難しい。

     トランプ氏の発言について米国では身内の共和党からも、自国の調査よりロシアの見解を信頼するのか、などと非難の声が上がっている。当然の反応と言うべきだろう。

     また、米国と欧州は貿易や防衛費負担をめぐり「冷戦」とも言われる状態だ。トランプ氏が欧州歴訪時に対露関係改善を強調し、クリミア併合も含めたロシアの振る舞いに対して厳しい批判を控えたのは、欧州同盟国の不安を呼ばずにはいまい。

     トランプ氏は11月の中間選挙に向けて、北朝鮮やロシアとの「和解」を外交得点とすべく、今回の首脳会談もロシアに関する疑惑否定の場にしたかったのだろう。それはプーチン氏の利益にもかなう。

     だが、場当たり的外交や演出過多の「和解」は有権者に見抜かれて信頼失墜を招きかねない。トランプ氏は強引な手法を改め、同盟国が信頼できる政治と外交を進めるべきだ。

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