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余録

「劇団四季」を率いた浅利慶太さんの昔のミュージカルに…

 「劇団四季」を率いた浅利慶太(あさり・けいた)さんの昔のミュージカルに「空飛ぶ幸吉」がある。鳥のように飛ぶことを夢見て経(きょう)師(じ)張りの羽を作り、崖から飛ぼうとする経師屋を演出していると何だか自分みたいだなと思った▲「芝居を成功させ、ロングランにもっていき、その収入だけで劇団員を食べさせてゆく。人が空を飛べるようになる願いに近い」。だが、と思い直す。「世界を見渡せばニューヨークでもロンドンでも劇場が飛んでいるではないか」▲1983年初演の「キャッツ」。日本で例のないロングランへ向けテントで劇場を作り、チケット販売をコンピューター化し、私財を含む劇団の全資源を投入した。日本の演劇興行を革新した「キャッツ」の無期限ロングランだった▲政界と太いパイプのあった浅利さんの「演出」が呼んだ波紋もある。佐藤栄作(さとう・えいさく)首相の退任記者会見の新聞記者退出事件の背景には「退任時に国民にテレビで語りかけを」というアドバイスの不幸な行き違いがあったのを後に明かした▲政治の演出は中曽根康弘(なかそね・やすひろ)首相とレーガン米大統領の日の出山荘会談でも示された。だが、その浅利さんは叙勲など国の顕彰を固辞してきたことでも知られる。そして、「李香蘭(りこうらん)」「異国の丘」「南十字星」の昭和の歴史3部作である▲「右でも左でもない。真っすぐな目で戦争の歴史、責任を見ねばならない。3部作は劇団創立世代の時代の証言です」。日本の演劇を大空に羽ばたかせた浅利さんが後の世代に送った「戦後」の遺言だった。

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