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犀川のほとりで

映画=室生洲々子 /石川

庶民の娯楽が映画だった時代、連休でにぎわう映画館(東京都千代田区有楽町で1954年5月撮影)。室生犀星も同月31日の日記に「『ローマの休日』を見る」と記していた

 祖父は映画観賞が好きで、映画館によく出かけていたらしい。日記に折々、その感想が書かれている。例えば、スタンバーグの「女の一生」は、「大したものにあらず」とある。私の好きな「ローマの休日」については、「あとになにものこらない映画、近代オトギバナシである。」と辛口な批評を書いている。

 晩年は散歩の折などに、家の近くの映画館を覗(のぞ)いていた。その姿が映る写真もある。ところが、である。いつしか、「映画を見に行く」というのが、彼女との逢瀬(おうせ)の口実になっていたという。だから映画に関わる随筆を頼まれても断る事が多くなり、当時とても不思議だったのだと母は話していた。祖父も、なかなか隅に置けない人である。

 私が初めて見た映画は、父と一緒に見たドイツ映画の「野ばら」だった。動乱の中、オーストリアに逃げてき…

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