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社説

国内の世界遺産22件に 保護への関心も高めたい

 江戸幕府による禁教期、ひそかに信仰を守り続けた人々が育んだ独自の文化的伝統に、人類共通の普遍的価値が認められた。

     「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された。自然遺産を含めた国内の登録は6年連続で、22件目だ。

     往時の景観を残す離島を含む集落や集落跡が、弾圧に屈しなかった苦難の歴史と信仰形態を物語る。

     登録までは曲折があった。一昨年、日本政府はユネスコの諮問機関から指摘を受けて推薦を取り下げた。禁教期に絞っての再挑戦だった。

     世界遺産はすでに1000件を超え、制度も転換期を迎えている。誰もが感嘆するようなモニュメントは一通り登録された。今回の成功は関係者の粘りがあってこそだろう。

     世界のお墨付きで、地域活性化に期待がかかる。一方で、観光客の増加がもたらす影響が気がかりだ。登録対象の中には、高齢化や過疎化で存続が危ぶまれる集落もある。生活環境や祈りの場、素朴な景観への配慮も必要だ。

     19日、国の文化審議会は新たな世界文化遺産候補に「北海道・北東北の縄文遺跡群」を選んだ。地元自治体は、2020年の登録を目指す。

     観光資源としての活用に目が行きがちだが、世界遺産の目的は、歴史的建造物や自然環境などを人類全体の遺産として保護することにある。

     その理念を象徴するのが、戦乱や自然災害、開発などで価値を失う恐れのある世界遺産をリストに登録する、危機遺産の制度だ。開発への警告になり、国際的な枠組みでの修復支援も可能になる。

     毎年の世界遺産委員会では、危機遺産も審議される。今年はダム開発による環境悪化が懸念されるケニアの自然遺産「トゥルカナ湖国立公園群」が新たに登録された。

     現在、危機遺産は54件を数える。うち41%の22件がアラブ地域に集中する。内戦が続くシリアでは、「古代都市アレッポ」など文化遺産6件すべてが入っている。

     文化や自然が破壊されるということは、そこに暮らす人々の安全も脅かされていることにほかならない。

     世界が抱えるさまざまな問題に目を向ける契機にもしたい。

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