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南スーダン避難民キャンプ ここで待つしかない

うつろな瞳で外を見るジョージ・マルティクちゃん(3)。栄養失調の症状を見せ、顔にたかるハエもはらえない

 ひび割れた荒野に太陽が照りつけ、砂煙が舞い上がっていた。温度計は45度近くを示し、噴き出す汗さえすぐに乾く。南スーダンの首都ジュバから国連機で約2時間半。北部の中心都市ベンチウは、内戦で反政府勢力の拠点となり、戦闘が相次いでいる。家畜の奪い合いも火種のひとつだ。4月に訪れると、街には戦闘で焼かれた車や戦車が無残に放置され、ほとんどの商店は閉ざされていた。

    鉄条網で囲われたゲートを越えてキャンプに戻る少女たち

     「兵士は子供や女性にも銃を乱射した。周りには多くの遺体が折り重なっていた」。犠牲者が約400人に上ったとされる2014年の「ベンチウ大虐殺」。その現場の一つのモスクで当時を知る男性が振り返った。壁や床には無数の弾痕が今も残り、人々は祈りをささげていた。

    薪として売るため、拾った木を束ねて避難民キャンプに戻る人たち。5キロ以上歩くという

     郊外には国内で最多の11万3000人が暮らす避難民キャンプがある。大半が政府軍から「反政府勢力」とみなされ、故郷を追われたヌエル族だ。周囲は鉄条網が敷かれ、出入りは制限されていた。

    夫を亡くした女性らの刺しゅうサークル。だれともなく歌い出し、次第に合唱になった

     午後9時過ぎ。市民の保護を担う国連平和維持活動(PKO)部隊の警戒に同行すると、暗闇の中にともる数少ない外灯に人々が集まっていた。テントには電気がない。わずかな明かりを頼りに話をしたり、勉強したりする子もいた。

    市街地に放置された焼け焦げた車

     貧困による治安悪化でキャンプ内では強盗や女性への暴力などトラブルが絶えない。PKOを展開する国連南スーダン派遣団(UNMISS)の平原弘子・ベンチウ事務所長は「武器を隠し持ち外部で襲撃に加わる者もいる。警戒は欠かせない」と言う。

    約11万人が暮らす避難民キャンプ。乾いた大地の中に、整然と区画された土地が浮かぶ

     キャンプ近くの集落に住むメアリー・ニャジュアルさん(45)は6人の子供を一人で育てている。1日約4時間の薪拾いで得られる収入は約3ドルしかない。栄養失調に苦しむ一番下の息子、ジョージ・マルティクちゃん(3)がうつろな目でベッドに横たわっていた。

    夜は闇に包まれる避難民キャンプ。数少ない外灯の下に集まる子供たち。本を広げて勉強する姿も
    二重の有刺鉄線などで仕切られた避難民キャンプ(右)

     長引く内戦で医療の整備は進まず、学校の半数も機能していない。舗装路も乏しく食料を得ることが難しい。ジョージちゃんを見つめながらメアリーさんは言った。「故郷に戻りたい。でも子供たちを無事に育てられる状況ではない。平和が訪れるまで、ここで待つしかない」<写真 小川昌宏 文 稲垣衆史>(すべて南スーダン・ベンチウで撮影)

    キャンプ内で縄跳びをして遊ぶ子供たち

    海外難民救援金を募集

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     ■ことば

    南スーダン

     2011年7月にスーダンから分離独立。13年末に最大勢力ディンカ族出身のキール現大統領と第2勢力ヌエル族出身のマシャール前副大統領の利権争いを背景に政府軍と反政府勢力との間で内戦状態に陥った。子供や女性ら市民も犠牲になり、約420万人(国内174万人、国外247万人)が避難している。6月末に両者が和平合意したが、その後も衝突が起きている。陸上自衛隊は国連平和維持活動(PKO)に施設部隊を派遣し、昨年5月に完全撤収した。

    テントの外からこちらを見つめる少年。ほほには涙の跡
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