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社説

君が代「再雇用拒否」判決 行政の裁量広げすぎでは

 入学式などで起立して君が代を歌わなかったことが、退職後の再雇用を拒まれる理由になるのか。

     東京都立高校の元教諭22人が都に損害賠償を求めていた訴訟で、最高裁が1、2審判決を覆し、原告側の訴えを退けた。

     判決は、原告らの行為が、式典の秩序や雰囲気を一定程度損ない、式典に参列する生徒への影響が伴うことは否定し難いと指摘した。

     その上でこう述べた。

     当時の再雇用制度は、採用を希望する者を原則として採用しなければならない法令の定めはなかった。勤務成績の評価は任命権者の裁量に委ねられており、不採用は著しく合理性を欠くとは言えない--。

     だが、これでは、採用側の裁量を広く解釈しすぎていないか。

     東京都は2003年、式典での国歌斉唱を教職員に求める通達を出し、拒否者を相次ぎ懲戒処分にした。原告らも、職務命令違反で戒告などの処分を受けた人たちだ。

     君が代斉唱をめぐる処分の可否については決着がついている。最高裁は12年、「戒告より重い減給以上の処分を選択するには、慎重な考慮が必要だ」との判断を示した。この時は停職や減給の処分が一部取り消された。懲戒権者の処分に「行き過ぎ」がないよう一定の線引きをした。

     さらに最高裁は別の判決で「君が代の起立・斉唱行為には、思想・良心の自由に対する間接的な制約になる面がある」とも述べている。

     再雇用は定年後の人生設計を左右する。9割超が再雇用されていた実態もあった。規律違反と不採用という結果の均衡が取れているのか。今回の最高裁判決には疑問が残る。

     日の丸・君が代との向き合い方は人それぞれだ。戦前の軍国主義と結びつける人もいれば、国旗・国歌として自然に受け入れる人もいる。ただし、一方の考え方を力で抑え込めば、最高裁が指摘したように、憲法が保障する思想・良心の自由に抵触しかねない。

     国旗・国歌法が成立したのは1999年だ。当時の小渕恵三首相は国会で、「国旗掲揚や国歌斉唱の義務づけは考えていない」と答弁し、個々人に強制しないと強調した。

     その精神は今後も尊重すべきであり、行政の慎重な対応が必要だ。

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