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社説

貿易戦争さなかのG20 歯止め掛けられぬ深刻さ

 貿易戦争に歯止めを掛けられなければ、世界経済を協力して支える枠組みが空洞化してしまう。

     日米欧や中国など主要20カ国・地域(G20)は、財務相らが世界経済の課題を話し合う会議を開いた。トランプ米政権が中国に制裁関税を発動するなど貿易戦争に突入してから初めて関係国が一堂に会した。

     米国は日欧にも自動車への高関税を検討している。第二次世界大戦後の自由貿易体制を揺るがしかねない。共同声明が世界経済の先行きに懸念を示したのは当然だろう。

     とはいえ、深刻なのはG20の無力さが浮き彫りになったことだ。

     声明は、貿易戦争を食い止める具体的な方策を示せなかった。多くの国が批判したにもかかわらず、米国が自国の通商政策の正当性を主張し平行線をたどったためである。

     そもそもG20は利害が対立しがちな先進国と新興国が幅広く協調し、世界の安定成長を目指す枠組みだ。

     とりわけ注目が高まったのは、リーマン・ショック直後に首脳会議(サミット)が創設されてからだ。世界が不況に陥ると、保護主義が広がり、景気をさらに冷え込ませる恐れがある。G20は反保護主義を掲げ、負の連鎖を防いできた。

     米国は本来、超大国として世界経済の安定に責任を負う。G20サミットを呼びかけたのも米国だ。

     制裁の原因となった中国の知的財産権侵害は中国側に問題があるのは確かだが、多国間の枠組みを活用し改善を促すのが筋だ。なのにトランプ政権は「米国第一」を振りかざし協調をないがしろにしたままだ。

     強気で保護主義策を連発しているのは、トランプ政権が行った減税で米国の景気が好調だからである。だが減税は消費を刺激し輸入を活発にして、米国の貿易赤字を膨らます要因になる。政策が矛盾している。

     為替に関しても「米国第一」が露骨だ。トランプ大統領はG20の直前に突然、中国や欧州が通貨安に誘導していると批判した。ドルが高くなって米国の輸出に不利に働くことを懸念したものだが、そこには世界経済を見渡す司令塔の視点はない。

     日本は来年、G20議長国を務める。欧州などと連携して、米国に保護主義の撤回を働きかけ、協調の枠組み維持に努める必要がある。

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