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社説

暴力団の上納金に課税 資金源断つ手立てさらに

 資金源を獲得するための暴力団の生命線である「上納金」のシステムを突き崩すきっかけになるのか。

     北九州市に本部のある「工藤会」トップの総裁に対し、福岡地裁が所得税法違反で実刑を言い渡した。

     工藤会に入った上納金から得た約8億1000万円を総裁の所得とみなし、約3億2000万円を脱税したと地裁は認定した。これまで捜査のメスが入りにくかった上納金をめぐって、トップの刑事責任が認められた意義は大きい。

     上納金は暴力団特有のシステムだ。組の運営費として、下部組織などから集められる。その原資は、「みかじめ料」名目で民間業者や飲食店などから吸い上げた不正な資金だ。年間にすれば億単位の金が集まるというが、多くは現金でやりとりされ、実態の把握は難しかった。

     任意団体である暴力団の運営のために集められた上納金は「会費」と同じ扱いで課税対象にはなってこなかった。今回、警察は金庫番が残した詳細な出入金記録を入手した。

     国税当局とも協議し、大半をトップらが私的に消費していた実態をつかんだ。判決も不正蓄財そのものだとして、課税の正当性を認めた。

     判決で認定された上納金徴収の仕組みは大胆だ。工藤会は建設業者から主に金銭を受け取っていたが、工事代金に応じて、「10億円未満の場合は3%」などと具体的に数字を決めていた。暴力団の「威光」を背景に、いや応なく取り立てていたことがうかがえる。

     工藤会は近年、市民や企業関係者に平然と銃口を向けてきた。企業などが暴力団と距離を置き始めたことへの報復とみられている。悪質な組織の壊滅に向け、さらに警察は全力を挙げなければならない。

     上納金をめぐる他の暴力団の実態はどうだろうか。警察と国税が連携を強めれば、今回のように資金の流れをつかむことが可能なのではないか。上納金の闇に、さらに風穴を開けてもらいたい。

     暴力団への利益供与などを禁じる暴力団排除条例が全都道府県で施行されている。それでも上納金の仕組みはなくならない。支払う側の意識も問われる。もちろん、市民の側の恐怖を拭うには、警察が市民を守るために万全を期すことが重要だ。

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