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余録

戦時中禁じられたラジオの天気予報の復活は…

 戦時中禁じられたラジオの天気予報の復活は玉(ぎょく)音(おん)放送の7日後、東京地方は「午後から夜にかけて時々雨」だった。だがその晩、東京は暴風雨に襲われる。何と房総沖に迫っていた小型台風を見落としたのだ▲「ガラス窓はほとんど破れ、床はどろまみれ」は他ならぬ中央気象台の惨状だった。その予報部長で後の気象庁長官、和達清夫(わだち・きよお)は、通信不良で観測情報が集まらず天気図も描けなかった当時を回想している(饒村曜(にょうむら・よう)著「台風物語」)▲さすがに不意打ちではないが、炎暑の列島への「急襲」といえるだろう。こちらは太平洋上の台風12号である。きょうからあすにかけ進路を変えて本州中央部に上陸し、豪雨で被災した西日本を東から西へと横断する勢いを見せている▲これまで数知れない台風の進路図を見てきたが、小笠原諸島方面から左にカーブして列島を襲い、そのまま西進する台風は覚えがない。空前の広域豪雨、記録破りの猛暑、そして台風までも今まで見なれぬ姿をあらわにする夏である▲週末のイベントがどうなるか気が気でない人もおられようが、誰の胸をもよぎるのは先の豪雨被災地での風雨の心配である。川底が埋まった川の氾濫、緩んだ地盤の土砂災害といった心配を数え上げれば、天の無情をなじりたくなる▲観測網や警報システムは整っても、人に隙(すき)あらば急襲してくる気象災害だ。世界的に異常気象が伝えられる「見なれぬ夏」。こちらも従来の常識にとらわれてはならない災害列島住民の用心と連帯だろう。

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