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社説

最低賃金の引き上げ 国際競争力はまだ足りぬ

 パートやアルバイトなど働き方に関わらず適用される最低賃金が3年連続で3%引き上げられることになった。引き上げ額の目安は26円で、過去最大のアップだ。

     政府は最低賃金の目標値を1000円としている。このペースで引き上げが進めば、東京都は2019年度にも突破する。

     ただ、働き手不足は深刻だ。政府はベトナムから介護労働者1万人を招く計画を立てたが、すでに韓国の最低賃金は実質的に日本より高い。中国の諸都市も近年は大幅な最低賃金の引き上げを図っている。

     アジア諸国の高齢化は進んでおり、今の日本の最低賃金の水準では外国から介護労働者を集めるのは難しくなるだろう。国際競争力の弱さは否めない。

     フルタイムで働く人の平均賃金との対比では、日本の最低賃金は約40%の水準にとどまる。フランスは60%、イギリス、ドイツは50%前後で、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では最低レベルにある。

     今国会で成立した働き方改革関連法では、長時間労働を是正するため残業時間に上限規制が設けられた。最低賃金を少し上回る程度の賃金で働いている非正規社員は多く、複数の仕事を掛け持ちしないと生活できない人もいる。非正規社員の長時間労働を改善するためにも、さらなる引き上げが必要だ。

     地域間格差も問題だ。諸外国では全国一律の最低賃金が一般的だが、日本は都道府県ごとにA~Dの4ランクに分かれている。今回の引き上げで、東京は985円となるが、沖縄などは760円にとどまる。前年度よりさらに差は広がった。

     実際の賃金は物価など地域特性を理由とする差よりも、企業の規模や産業・職種による差の方が大きい。同じ内容の仕事なのに地域によって時給200円以上も差があると、最低賃金の低い地方からの労働力流出は進むばかりだろう。

     連合の調査では世帯収入は改善の傾向にあるものの、暮らしに関する将来の不安を感じている人は多く、消費の回復にはつながっていない。

     最低賃金の一層の引き上げと格差是正を進めるべきだ。税金や保険料を納める層が厚くなれば、社会保障制度の安定にもつながる。

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