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社説

与党圧勝のカンボジア選挙 「中国式モデル」の広がり

 カンボジアの総選挙で、フン・セン首相率いる与党が完勝する見通しとなった。与党は下院議席を独占するとの見方を示している。政権運営が独裁化しかねないと憂慮する。

     前回2013年の総選挙と昨年6月の地方選では、野党・救国党が半数に迫るほど躍進した。政権交代を恐れたフン・セン氏の意向を背景に警察当局は昨年9月、救国党党首を国家反逆容疑で逮捕した。さらに最高裁は同11月、政権転覆を図ったとして救国党を解党に追い込んだ。

     今回の選挙に参加した計20の政党は、大半が与党の支配下にあるとされる。異論を封じ、与党に有利な状況で実施された選挙だった。

     東南アジアでは近年、権威主義的な政権運営が復活しつつあり、欧米で懸念が広がっている。背景には、大型投資で存在感を強める中国の影響力がある。

     カンボジアでは、フン・セン氏による長期政権の下、汚職と政治腐敗が深刻化しているが、最近10年間の平均経済成長率は約7%となるなど好調だ。

     自国第一主義を掲げる米トランプ政権が東南アジアへ関心を示さない一方、人権問題などを気にかけない「中国式発展モデル」が広がっていると言えよう。中でもカンボジアは、南シナ海問題で中国支持に回るほど中国との関係が良好である。

     それだけに、国際社会の関与や協力が欠かせない局面ではないか。

     欧米は今回の結果を「欠陥選挙」などと一斉に批判しており、米国は制裁措置も検討するという。だが、力による価値観の押し付けは、かえって中国との関係を強化させる。

     内戦後初めて国連監視下で行われた総選挙から25年を迎えた。当時、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)特別代表として現地で指揮した明石康氏は「民主主義や人権問題は普遍性があるが、どう実現するかは国や文化によって柔軟に考える必要がある」と話す。

     日本は今回、選挙監視要員の派遣は見送ったものの、投票箱の提供など一定の協力は行った。1992年には初の国連平和維持活動(PKO)として自衛隊を派遣するなどカンボジアの国づくりに積極的に関わってきた歴史がある。日本ならではの関与政策を再構築すべき時だろう。

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