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マレーシア機撃墜

4年 乗客遺族「正義を望む」 捜査チーム「露軍関与」

マレーシア機撃墜事件で兄を亡くしたピート・プローグさん=オランダ中部マールセンで2018年6月25日、八田浩輔撮影
マレーシア航空機墜落地点

 【マールセン(オランダ中部)で八田浩輔】2014年7月17日にウクライナ東部でマレーシア航空機が撃墜され、乗客乗員298人全員が犠牲となった事件から4年がたった。最大の犠牲者を出したオランダが主導する5カ国の合同捜査チームは今年5月、ロシア軍の関与を指摘する調査結果を公表したが、ロシア側は一貫して異を唱える。外交問題のはざまで苦悩する遺族は真実の解明と司法による解決を望んでいる。

     「驚きはなかったが、衝撃だった」。事件で兄アレックスさんとその妻、長男の3人を亡くしたピート・プローグさん(59)は調査結果についてそう語る。捜査チームは5月24日、旅客機は露軍の「第53対空ミサイル旅団」がウクライナの親露派支配地域に運び込んだ地対空ミサイル「ブク」で撃墜されたとの見解を発表した。調査はそれまで露製ミサイルの使用と発射地域までは特定していたが、露軍の関与に踏み込んだのは初めてだった。

     企業に勤める魚類の研究者で、仕事で世界を飛び回っていたアレックスさんは、娘2人をオランダに残し、妻と長男と休暇でマレーシアへ向かう途中で事件に遭遇した。犠牲者のうち身元が未特定なのはアレックスさんを含む2人だけで、遺品も見つかっていない。

     昨年、ウクライナの親露派勢力が支配する現場近くで犠牲者の遺体の一部とされるものが新たに見つかった。オランダ政府に引き渡され分析が進むが、欧州メディアでは事故3年後の不自然な「発見」はロシアや親露派勢力による情報戦の一環との見方が強い。「調査を不十分だと主張するためだ」「遺体をもてあそぶことにはうんざりする」とプローグさんは不快感をあらわにする。

     14年春のロシアによる一方的なクリミア編入、その後のウクライナ東部への介入で、欧露関係は冷戦後最も冷え込む。マレーシア機事件も政治案件となり、欧州連合(EU)は事件を受けて対露経済制裁を強化した。

     ミサイルを誰が発射したのかという事件の核心に迫る捜査は続いている。今年3月、英国南部で元ロシア情報機関員が神経剤で襲撃された事件で、英政府に同調したオランダ政府は国内の露外交官を追放。プローグさんには、これに比べてマレーシア機事件でのオランダ政府の動きは慎重に映る。遺族会の会長として政府に強い対応を求めたこともあった。「合理的に考えると(司法の)複雑なプロセスは理解できるが、遺族感情として明日にでも正義を望む気持ちがある。もう4年も待っている」

     アレックスさんが残した2人の娘は20代になった。次女は父と同じ生物学者を志している。「まるで昨日事故が起きたように感じる。世の中は回り続けても私の時間は14年7月で止まったままだ」と思うプローグさん。「多くの遺族が望むのは正義だ。個人的な報復でもなければお金のためでもない。それは(事件を)終わらせるためだ」

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