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シニア映画歓

中東のいぶき=野島孝一

 日本で中東の映画を見られるチャンスは少ない。例外がイラン映画だったが、アッバス・キアロスタミ監督が亡くなり、当局の映画製作に対する規制が厳しいので、最近はほとんど日本に入ってこない。そんななかで今月、2本の中東にかかわる映画が公開される。

     「バンクシーを盗んだ男」はマルコ・プロゼルピオ監督のドキュメンタリー映画。バンクシーとはロンドンを中心に反権力的なストリートアートを描いている正体不明の人物。バンクシーは、イスラエルがベツレヘムに建てた巨大な壁に、<ロバと兵士>をモチーフにした壁画を描いた。地元住民たちは、ロバがパレスチナ人を表現していると憤慨して、壁を切り取り、オークションにかけるために海外に送り出してしまった。

     もう1本。「判決、ふたつの希望」はレバノン出身のジアド・ドゥエイリ監督の作品。レバノンの首都ベイルートで違法建築の補修作業をしていたパレスチナ人の現場監督ヤーセル(カメル・エル=バシャ)が、アパートのバルコニーで水漏れ工事をしていたところ、住人のトニー(アデル・カラム)がせっかく取り付けた排水管をたたき壊した。そこから2人の苛烈な争いが始まり、裁判にまで持ち込まれる。イスラエルとシリアに隣接するレバノンには、多数のパレスチナ人が難民として流入し、内戦が続いた。住民感情のもつれは根深い。中東情勢の難しさが、2本の映画から伝わって来る。(映画ジャーナリスト)

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