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社説

退位と即位をめぐる儀式 前例踏襲ではない議論を

 天皇陛下の退位と皇太子さまの即位に伴う儀式をどう行うか。政府はその準備を統括する事務局を発足させた。秋には儀式の詳細を決める式典委員会を設置する。憲法との整合性を考慮しつつ、時代に合わせて簡素なものにする議論を求めたい。

     政府は今年4月、憲政史上初となる退位の儀式のほか、新天皇の即位礼などを国事行為として行うことを決めた。一方、新天皇が五穀豊穣(ほうじょう)を祈る大嘗祭(だいじょうさい)は宗教色が濃いことから国事行為とせず、前回同様、皇室行事として行うこととした。

     大嘗祭の費用は宮廷費が充てられるが、国費であることに変わりはない。憲法に定められた政教分離の観点から疑問視する声は今も根強い。

     国事行為とされた儀式にも、政教分離の問題は残る。新天皇の即位を内外に示す「即位礼正殿の儀」は、天皇の言葉に首相が応える形が君主と臣下の関係を思わせ、国民主権の憲法にそぐわないという意見も専門家の間に少なくない。議論を深め、国民へ丁寧に説明する必要がある。

     前回の即位の儀式では関連支出が約123億円に上ったことが批判された。大嘗祭では、建設された大嘗宮が儀式後に取り壊され、多くの資材も捨てられた。再利用を含め、できる限りの節約が求められる。

     新天皇の即位を祝う「饗宴(きょうえん)の儀」をどう簡素化するかも重要だ。前回は国内外から約3000人が招待され、4日間で計7回も祝宴が開かれた。財政難であるうえ、新天皇、新皇后の負担の重さを考慮すれば、簡素化は当然の流れだろう。

     儀式について政府が聞き取りをした識者からは「国内外の通念とも調和するあり方」を望む声が出た。しかし安倍政権は保守派の意見に配慮するあまり、議論を進めようという姿勢が足りない。前回と違って時間の余裕があるのに、前例踏襲を前提にしている。重要な儀式への女性皇族の参列を認めないとする方針もその一つである。

     退位の日程などをめぐって官邸と宮内庁側の意思疎通が不十分との指摘がなされてきた。一連の儀式を円滑に進めるためにも、今後は双方の連携を密にすべきだろう。

     天皇制自体、時代に対応して変わってきた。儀式も時代に合わせて見直すことをためらってはならない。

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