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社説

減り続けるニホンウナギ 消費者の意識も問われる

 夏の風物詩、ウナギのかば焼きが食べられなくなるかもしれない。

     今年の夏は、国産の養殖ウナギの取引価格が、前年同期に比べ3割から5割も高くなった。

     市場に流通するニホンウナギの大半は、稚魚(シラスウナギ)を捕獲して養殖したものだ。水産庁によれば、今漁期の国内の漁獲量は8・9トンにとどまり、2013年に次ぐ史上2番目の低さだった。

     大量消費を見直し、違法取引が横行するとされる不透明な流通実態にメスを入れないと、ウナギは減り続けるばかりだ。消費者も、安くて、たくさん食べられる魚ではなくなったことを認識する必要がある。

     政府は中国、韓国、台湾と協議して、15年漁期から養殖池に入れる稚魚の量に上限枠を定めた。各国・地域とも、近年では豊漁だった14年漁期の実績の8割とされたが、科学的根拠はなく、池入れ量が上限に達した国・地域はない。稚魚は事実上取り放題で、上限枠が過剰消費の歯止めになっていないのが実情だ。

     政府は来月、中韓台の行政担当者や研究者らを東京に集め、科学的な上限枠の設定について協議する。ウナギ消費大国日本は、各国と連携して研究データを共有し、科学的な資源管理につなげる責務がある。

     ワシントン条約事務局は5月、日本の養殖池に入れられる稚魚の6~7割は違法に漁獲された恐れがあるとする報告書を公表した。

     稚魚の漁獲者には都道府県知事の許可と漁獲量の報告が義務付けられている。だが、高値で取引されるため、密漁が横行している。香港から輸入される稚魚も、台湾などから違法に持ち出された可能性が高い。

     このままでは、来年5月に開かれるワシントン条約締約国会議で、ニホンウナギが国際取引の規制対象となるのではないか。

     稚魚の捕獲から養殖、販売に至る生産履歴を追跡可能にする体制整備を、行政や関係業界が一丸となって進め、違法取引を根絶すべきだ。

     流通大手イオンは、23年までに、生産履歴が明らかなニホンウナギしか扱わないようにする方針だ。

     消費者が違法ウナギは食べたくないという声を上げ、イオンのような取り組みが広がれば、持続可能なウナギ消費への一歩となる。

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