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社説

偏見が消えない社会 誰も排除されないために

 障害者や少数者に厳しい視線を向け、排除しようとする。そんな空気が社会に暗く広がっている。

     自民党の杉田水脈(みお)衆院議員は月刊誌への寄稿でLGBTなど性的少数者のことを「生産性がない」などと主張し、厳しい批判を受けた。当初は杉田議員の発言を容認する意見が同党内で起きていた。

     相模原市の障害者施設では2年前、19人もの障害者が殺される事件が起きた。今でも被告に賛同する書き込みがネットで散見される。

     かつての優生思想が、過度に自己責任を求める競争社会の中で再び姿を現しているかのようだ。

     こうした風潮に対して、私たちは何をすべきなのだろうか。

     障害者の生きる権利を訴えるシンポジウムや集会が相模原事件をきっかけに各地で行われてきた。メディアも障害当事者の発言を積極的に取り上げてきた。

     20年以上前に廃止された旧優生保護法に基づく強制不妊手術の被害者を救済する運動は、今年になって全国的に広がった。障害者の尊厳を守ろうという機運が原動力のように思える。

     今年の通常国会では「障害者文化芸術活動推進法」が成立した。日本の障害者の芸術作品が海外で高く評価されていることが背景にある。

     海外で高値が付いている絵画や陶芸の作者の中には、意思疎通の難しい重度障害者もたくさんいる。日本では福祉サービスや障害年金の受給者としか見られてこなかった障害者たちである。

     社会の価値観が変われば、芸術・文化的評価や経済効果を生む「生産性」はいかようにも変わりうることを示している。

     そのような芸術活動ができない障害者も、家族や支援者らを通して社会にさまざまなメッセージを発信し、影響力を及ぼしている。

     多様な価値観と深い洞察をもって社会を考えることが、優生思想の広がりを防ぐことにつながる。

     貧しい独居の高齢者は増えている。うつや依存症、ひきこもりなど、生きにくさを抱えた人も多い。たとえ自分は健康でも、いつ家族や友人が障害を持つかわからない。

     弱者や少数者への偏見は社会に不安と息苦しさをもたらすだけだ。

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