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社説

きょう広島「原爆の日」 「核廃絶」受け継ぐ教育を

 広島は73回目の「原爆の日」を迎えた。長崎は9日に続く。数十万人の死傷者を出した原爆の恐ろしさと平和の尊さを再確認する日である。

 被爆者は年を追うごとに減っている。厚生労働省によると今年3月時点で15万5000人で、この10年で9万人が亡くなった。広島、長崎両市と隣接地域で直接被爆した人は初めて10万人を割り込んだ。平均年齢は82歳と高齢化が進む。

 8歳の時に広島で被爆した小倉桂子さん(81)は、自らの体験を英語で外国人旅行者に伝える語り部だ。国際会議や海外での証言活動にも携わるが、「やがて遺品しか残らない日が来る。日々、最後だと思って証言している」と話す。

 被爆者の声がか細くなるにつれ、それをしっかりと受け継ぐ教育がますます重要になっている。

 被爆地は平和教育への取り組みに熱心だ。広島市は小学校から高校まで12年間のプログラムで、発達段階に応じた平和の学びを実践する。長崎市は今年、小中学生が被爆者らから証言を聞くだけでなく対話を重視する授業を始めた。

 平和を学ぶ大切さは日本のすべての子供にとっても同じだ。被爆地に立ち、被爆者の証言に耳を傾けることで、戦争がどういうものかを感覚的に知ることができる。

 しかし、広島市によると、昨年に広島を訪れた修学旅行生は32万人で、ピークだった1980年代半ばの6割弱まで落ち込んでいる。

 被爆地での体験を一過性にしないことも大事だ。戦争は死傷者だけでなく都市や自然の破壊、多くの難民や社会の貧困をもたらす。戦争を防ぐにはどうすればいいかという議論をクラスで交わすこともできよう。

 世界に核兵器の恐ろしさを知ってもらうことは政府の責任だ。しかし、安倍政権は「核の傘」を提供する米国の意向に沿って昨年、国連で採択された核兵器禁止条約に背を向けた。その後も核保有国と非保有国の橋渡し役となると言いつつ、具体的な成果は一向に見えてこない。

 昨年、核兵器禁止条約採択に貢献した国際NGOがノーベル平和賞を受賞した。核廃絶への姿勢が後退したという疑念を拭い去ることができなければ、唯一の被爆国というテコを日本は失うことになる。

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