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西日本豪雨

「給食先生」笑顔忘れない 宇和島で犠牲

清家カヨ子さん、長年地域の保育園で調理員として働いて

 西日本豪雨は、大切な家族や仲間の命を一瞬にして奪い去った。最初の大雨特別警報が出てから6日で1カ月が過ぎたが、いまだ行方が分からない被災者もいる。各地の山肌には土砂崩れの爪痕が残り、災害ごみが積み上がる学校もある。

     「給食先生」が愛称だった。愛媛県宇和島市吉田町法花津の清家カヨ子さん(71)は、長年地域の保育園で調理員として働き、園児らに愛されてきた。

     7日朝、ごう音とともに集落の裏山が崩れ、ふもとの住宅が押しつぶされた。道路の寸断で孤立し、自衛隊もたどり着けない。

     「生きとるか」。近くの山内保さん(70)は雨の中、地元の消防団員らと土砂をかき分けるが、手に負えない。警察の船が着き、本格的な捜索が始まったが、見つかるまで3日ほどかかった。

     呼ばれると、「はーい」と満面の笑みで手を振る明るい人だった。定年まで勤めた近くの市立玉津保育園の同僚だった保育士、西田香織さん(38)は「煮物など、お母さんが作ってくれるような料理で、おいしかった」と振り返る。

     豪雨の1週間ほど前。「先生、大きなった?」。久しぶりに聞く声に振り返ると、清家さんがいた。園児らと参加した「花いっぱい運動」の行事で約10年ぶりに偶然再会した。西田さんは「カヨ子さんがこまく(小さく)なったんでしょ」と返し、昔のように笑い合った。

     はしゃぐ園児らが集まって写真を撮る様子に目を細めていたという。「またね。元気でね」。別れ際の言葉が最後になった。「今思うと、最後に会わせてくれたのかな」。西田さんは目を潤ませた。

     20年ほど前に夫を亡くして1人暮らしだったが、俳句など多趣味で友人も多く、自宅があった場所には、たくさんの花束が手向けられている。

     「毎週欠かさず、お参りに行ってたけん」。近所の加賀山トシヱさん(88)によると、清家さんの夫が眠る墓はいつもきれいに磨かれ、花が供えられていたという。墓は被災を免れ、きれいなまま残った。「あそこでまた一緒になれるんやろうか」。天国での再会を願った。【木島諒子】

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