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 1979年春、「将軍 SH〓GUN」のロケセット責任者に任命された馬場正男は、部下1人を連れて三重・紀伊長島に乗り込んだ。現場は人里離れ、山が迫る海沿いの土地。パラマウントはヘリコプターで探索しこの地を見つけたという。7月の撮影までに、ここに17世紀の伊豆・網代と大坂の二つの街並みを、無から築く。

     作業はまず、幹線道路からロケ地の海岸まで、機材と人を運ぶための道を造ることから始まった。そして現地の地形を丸ごと変える。「京都から連れてった業者と、現地の植木や土木も頼んで。木を伐採して道と崖とを整地して、そこからセットを組んだ」

     網代と大坂の街並みは、同じ海岸に隣接して造った。図面では建物が大小合わせて20軒ほど、海に突き出す桟橋が二つ。重機を何台も入れて山を崩し崖をならした。網代の漁村には領主の屋敷があり、斜面に沿って漁師の家が並ぶ。大坂側には裕福な商人の大店(おおだな)や蔵が建つ。馬場は作業を指示し、日々の進捗(しんちょく)状況を把握、点検してゆく。

     「画面に映るものは、俳優以外すべて美術の仕事」と言われるほど、映画の出来不出来は美術の力によるところが大きい。スタジオでの撮影はもちろん、屋外でのロケ撮影でも、美術の手が入らないことはない。特に時代劇は、失われた風景や建物を再現しなければならないから比重はさらに大きくなる。費用をかけるほど画面の厚みや迫力は増すが、製作費は限られる。馬場ら日本のスタッフは、いかに節約し使い回すかを求められたが、世界が市場のハリウッドは予算の規模が桁違い、物量作戦である。

     「ロケーションで使ったのが1億円。すごいセットが組めたからね」。巨大なオープンセットを2カ月で造る大仕事。力も入ったが重圧もかかった。=次回は14日掲載

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