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余録

「早起きは三文の徳」は灯油の高かった昔…

 「早起きは三文の徳」は灯油の高かった昔、夜ふかしを戒めた言葉といわれる。同じ発想は米建国の父、フランクリンも記している。こちらは3文どころか9600万リーブル(昔の仏通貨)の得との試算つきだ▲節約や勤勉を尊んだ彼は滞在先のパリ市民の夜の歓楽と昼まで寝ている生活を見かねたらしい。雑誌への寄稿で、パリ全市で夏の間に夜使うロウソク代を試算して先の数字をはじき出し、早起きして日光を有効利用するように説いた▲この寄稿が、夏に標準時を1~2時間進めるサマータイム(夏時間)の思想的起源という。実現は百数十年後、第一次大戦で各国が燃料節約や労働時間延長を企図したためだった。総力戦の片棒をかつがされた「早起きの徳」である▲こちらも一種の“総力戦”なのか。この夏の酷暑を受け、東京五輪・パラリンピックの選手や観客の暑さ対策としてサマータイムの導入案がにわかに浮上した。五輪組織委員会の森喜朗(もり・よしろう)会長が首相に導入要請したのがきっかけである▲仮に2時間繰り上げなら、午前7時開始のマラソンは今の5時スタートとなる。ただしことは国民生活や経済などすべてを巻き込むサマータイムである。占領軍が導入した時は寝不足や残業増の元凶とされ、講和とともに廃止された▲エネルギー問題や震災にからむ近年の導入論議も盛り上がりは乏しかった。ただ温暖化時代の気候変動を肌身で感じるこの機会である。一度は国民的な論議にかけてみてもいい「早起きの徳」の当否だ。

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