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社説

陸上イージスの導入経費 青天井で膨れ上がる危険

 日本が米国から購入する陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の価格が当初想定していた金額の約1・7倍に膨らむことを防衛省が明らかにした。

     陸上イージスは海上自衛隊のイージス艦に搭載されている弾道ミサイル防衛(BMD)システムを陸上に配備するものだ。防衛省はイージス艦の調達実績からシステム部分の価格を1基約800億円と見積もり、施設整備費と合わせた約1000億円が参考価格だと説明してきた。

     それがシステム部分だけで約1340億円に増え、秋田と山口に配備する計2基分に30年間の運用経費などを加えると約4664億円に達するという。施設整備費を入れたら5000億円を上回るとみられる。

     防衛省は価格高騰の要因としてレーダーの高性能化を挙げた。だが、日本全土を2基でカバーするため現行システムの倍以上の探知能力が必要になるのは分かっていたことだ。

     政府は今年末に「防衛計画の大綱」の見直しを予定している。これほど大規模な新規装備の導入計画はその中で検討するのが筋だ。

     なのに昨年12月、北朝鮮の脅威を理由に、性能や価格の詳細な検討は後回しにして導入方針を閣議決定した。拙速に過ぎたのではないか。

     今年6月の米朝首脳会談を経て緊張緩和が進み、そもそも必要なのかという反対論も出ている。

     その後、米朝の非核化交渉は進んでおらず、政府は「北朝鮮の脅威は変わっていない」と主張するが、他方で配備の遅れを容認している。

     日本政府は2023年度の導入を目指していたが、米側は1基目の配備までに約6年かかるとの見通しを示した。それでは来年度に契約しても25年度以降にずれ込む。導入決定を急いだ意味がない。

     貿易赤字を減らすため米国製の兵器購入を迫るトランプ大統領の要求に手っ取り早く応えられるのが陸上イージスだったのだろう。

     その足もとを見られ、安易に米側の言い値をのまされようとしているのではないか。レーダーなどの開発が遅れれば、青天井で価格が膨れ上がっていく危険がある。

     費用対効果などで納得のいく説明がないままでは、配備先の自治体、住民が反対するのも当然だ。

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