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余録

「宅急便」を生み出し、規制行政との闘いで名をはせた…

 「宅急便」を生み出し、規制行政との闘いで名をはせたヤマト運輸の小倉昌男(おぐら・まさお)の言葉と伝えられる「二本差し(武士)が怖くておでんが食えるか」である。むろん落語の啖呵(たんか)で、「田楽(でんがく)」が「おでん」なのが今日風だ▲昔の豆腐田楽は串が2本通っていて、落語の江戸っ子は「気のきいたうなぎなんか四本も五本もさしてらあ」と続ける。町人には胸のすく啖呵だっただろうが、小倉と当時の運輸省や郵政省の役人たちとの闘いも世人の留飲を下げた▲「役人に盾(たて)をついた気持ちはない。正しいと思うことをしただけだ」とはその言葉で、それが宅配便を社会インフラに育て、自社をトップ企業に変えた。その伝統を継承するグループ会社に国土交通省が立ち入り検査を検討中という▲ヤマトホームコンビニエンスによる法人向け引っ越し代金の過大請求問題である。これまでに2600社以上の顧客に対し、国内事業所の9割以上で過大請求が行われていたという。これほど似通った不正が広がったのはなぜなのか▲過大請求は過去の内部告発では一部の問題とみなされ、今回の不正発覚も外部の指摘がきっかけだった。ようやく第三者委の調査が行われるが、これでは豆腐田楽、いや監督官庁に異例の監査に乗り出すといわれても啖呵は切れない▲ドライバー不足に悩むヤマトグループでは大規模な残業代未払いが発覚したばかりである。小倉はこうも言う。「企業が悪い循環に入っているときというのは、目先の損得だけを考えていると失敗する」

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