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炎のなかへ

/226 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

その夜(61)

「このあたりは江東橋一丁目でやすね」

 千葉街道をはさんだ錦糸町駅前の繁華街の一角で、この先をすこしいくと国民学校がある。タケシたちはまだ燃えていない通りの左側に、身体(からだ)を張りつけるようにすすんでいった。登美子が煙の晴れ間に前方を見て叫んだ。

「うわあ、あんなに人がいる」

 茅場国民学校の長い塀沿いに、びっしりと避難民が集まっていた。千人を優に超えるほどではないか。押しくら饅頭(まんじゅう)でもしているようだ。塀の近くにいる者はまだいいが、外側にいる者は通りの反対側の火災の熱に直接さらされ、身体を寄せあっている。立ちどまった君代が、端の女性に声をかけた。

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