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余録

ペルシャの大軍がギリシャに迫り…

 ペルシャの大軍がギリシャに迫り、王が一人の捕虜を尋問した。ギリシャ人は何をしているかを問うと、今ごろはオリンピアの競技会に夢中だという。王はいぶかしげに、その競技に勝つと何を得るのか聞いた▲勝者にはオリーブの冠が贈られると捕虜が答えた。すると一人の将軍が「我らの敵は金品でなく栄誉だけを求めて戦う者たちだ」と戦慄(せんりつ)した。古代の専制君主には、競技そのものが目的である今でいうスポーツは理解を絶しただろう▲百科事典にはスポーツは「人間が楽しみを目的に自主的に行う、多少とも競技的要素をもった身体運動」とある。スポーツが古代ギリシャや近代英国で開花したのも、人の自由が尊重され、対等な関係が成り立つ文明のおかげだろう▲なのに専制君主めいた人物の好き勝手を許してきた日本のスポーツ団体だ。きのうは暴力団元組長との交際も明るみに出た日本ボクシング連盟会長が辞任を表明した。連盟私物化の告発が世の関心を沸騰させる中での退場宣言だった▲競技団体の有力者のパワハラや組織私物化がアスリートを悩ませる本末転倒(ほんまつてんとう)はなぜあちこちで発生するのか。指導者と選手、先輩と後輩の上下関係を軸とする旧来の運動部文化が、競技団体の組織風土も形づくる日本のスポーツ界だ▲アスリートを息苦しい専横から解き放ち、競技団体をスポーツにふさわしい自由で透明、公正な組織に変えていく。2020年東京五輪・パラリンピックの最大のレガシー(遺産)とすべきはこれである。

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