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社説

ボクシング連盟の不祥事 会長辞任で幕は引けない

 約3分間の辞任表明を聞いて、納得できた人はいただろうか。

     助成金流用や判定への不当介入などをめぐって告発されていた日本ボクシング連盟の山根明会長が、きのう辞任を表明した。

     疑惑に対する説明や報道陣との質疑応答はなく、一方的に声明を発表するだけだった。

     辞任を決意したのは、妻に「死ぬまで面倒見るから楽になって」と言われたからだという。不正への引責ではないということか。

     選手には、東京五輪が無理でも次があるとの言葉を投げかけた。会長を辞すことで自身に近い選手に暗雲が垂れこめても、まだ先はあると励ましたかったのか。

     告発したのは都道府県連盟幹部や元選手らだ。山根氏の辞任表明後、告発した側も記者会見を開いた。

     そこで明らかになったのは「奈良判定」と呼ばれる不正な判定の詳細なやり取りであった。

     「接戦した場合、やっぱり奈良やな。それに反対をつけた場合は『お前なめているんか』ってなってくるわけ」。山根氏とされる音声だ。

     山根氏が過去に県連役員を務めたことから奈良県の選手に有利な判定が出ていた。その権力の集中ぶりは、いびつとしか言いようがない。

     山根氏は元暴力団組長と交友があったことを認めている。日本連盟理事になった後も付き合いは続いた。

     反社会的勢力との関わりは断じて許されない。しかし、連盟では容易には自浄作用が働かなかった。

     鈴木大地スポーツ庁長官が辞任を迫り、理事の大半が造反の動きを見せ、やっと事態が動いた。

     東京五輪の競技からボクシングを除外するかどうか国際オリンピック委員会(IOC)では審議が続く。

     国際ボクシング協会の会長代行に犯罪組織との関わりが指摘されるほか、リオデジャネイロ五輪での判定に不正の疑いがあるためだ。

     山根氏の行動や日本連盟のガバナンス(組織統治)の欠如はIOCの審議にも影を落としかねない。東京五輪を控える日本のスポーツ界の信頼を失墜させるものだ。

     強大な権力が集中するトップに、黙って従うしかない前近代的体質がスポーツ界には残る。そういった体質の排除が信頼回復には不可欠だ。

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