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社説

核軍拡の時代と日本 「唯一の被爆国」の筋通せ

 「いまほど平和が不確かなものに思える時代があっただろうか」

     米国とソ連を中心に核軍拡が進んでいた1981年8月6日、毎日新聞の社説は広島・長崎の原爆忌に当たって、そう書いた。

     「恐怖が大きすぎて、逆に恐怖が実感できなくなっている」「とりあえず、きのうもきょうも平和に過ぎたことが、平和の保証であるかのような錯覚のなかで、われわれは生きているのではないのか」と。

     37年後の今、私たちは同じような状況に直面している。米朝の軍事衝突の危機は遠のいたとはいえ、北朝鮮の核廃棄は進まず、核保有が恒常化する恐れもある。

     また、米オバマ前政権の「核なき世界」構想は過去のものとなり、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、多くの核兵器保有国が核兵器システムの新規開発や近代化を進めている。

     だが、その一方で、唯一の被爆国としての日本の自覚が揺らぎ、核廃絶に向けて行動する責務を怠っているように見えるのも、別な意味で危険な状況と言わねばならない。

     昨年7月、核兵器を違法とする核兵器禁止条約が国連で採択されたが、日本は賛成しなかった。条約に関してノーベル平和賞を受けた「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の主要メンバー訪日の際、安倍晋三首相は日程を理由に面会を断った。6日の広島の記念式典でも首相は同条約に言及しなかった。

     米国への遠慮だろうか。だが、被爆者の平均年齢が82歳を超えたことを思えば、核廃絶への弾みとしてむしろ大切にしたい条約だ。「長崎、広島の価値観と、政府の政策に大きなギャップがあると感じた」とICAN側が言うのはもっともだ。

     また、日本は使用済み核燃料から取り出された47トンのプルトニウムを抱えている。約6000発の原爆の材料になりうる。外国には日本が将来の核兵器開発を含みにしていると勘ぐる人も少なくない。

     李下に冠を正さずである。きょうの長崎の式典に国連事務総長が初めて出席するのは「不確かな平和」への懸念からだろう。この際、日本は核兵器禁止条約への態度を改め、プルトニウム保有も含めて核廃絶の決意を疑わせる要素を一掃すべきだ。

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