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社説

翁長・沖縄知事が死去 基地の矛盾に挑んだ保守

 保守系ながら「オール沖縄」を掲げ「辺野古新基地」に反対してきた翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事が死去した。

     本土復帰前から保守と革新の対立が続く沖縄政界にあって、翁長氏は長く県議や那覇市長・市議を務め、自民党の沖縄県連幹事長に就いたこともある保守の重鎮だ。

     保守は地域の伝統や文化を重視し、急進的な変革は避けようとする。沖縄の保守は米軍基地が存在する現実を受け入れ、経済振興を図ることによって、革新側の「反基地」「反安保」と一線を画してきた。

     ところが、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐる政府の迷走が保守をいら立たせた。

     旧民主党の鳩山政権は「県外移設」を公約しながら、後に断念した。

     安倍政権は「辺野古が唯一の選択肢」と頭ごなしに押しつける強硬姿勢をとり続けている。

     安倍晋三首相のキャッチフレーズには「戦後レジームからの脱却」「日本を取り戻す」などがあるが、沖縄にとっての戦後レジームは米軍占領下から続く過重な基地負担だ。

     首相の言う日本の中に沖縄は入っているのか。本土の政府・自民党に対するそんな不信感が翁長氏を辺野古移設反対へ転じさせた。

     イデオロギーで対立する保守と革新をオール沖縄へ導いたのは「沖縄のアイデンティティー」だ。翁長氏はそう強調してきた。

     県の「沖縄21世紀ビジョン」にあるように、沖縄はアジア太平洋地域の国際的な交流拠点を目指すことで経済的な自立を図っている。

     沖縄は基地依存経済といわれる状況から抜け出そうとしているのに、それを後押しすべき国が辺野古移設と沖縄振興策をセットで押しつけてくる。これを受け入れることはアイデンティティーの確立と矛盾する。

     知事就任後に菅義偉官房長官と会談した際、翁長氏は政権側の姿勢を「政治の堕落」と非難した。

     ただし、県側がとれる対抗手段は限られていた。辺野古埋め立て承認の「撤回」手続きを進める中での翁長氏の急死は、移設反対派に衝撃を与えている。9月にも行われる知事選の構図は流動的だ。

     戦後の米占領下で生まれ育った保守政治家が病魔と闘いながら挑んだ沖縄の矛盾は残ったままだ。

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