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東南アジア探訪記

伝統武術「プンチャック・シラット」でメダルを

アジア大会のプンチャック・シラットに日本代表として出場する麻生大輔選手=ジャカルタで2018年7月26日、武内彩撮影
現地コーチから剣の形で細かい動きの指導を受ける麻生選手(左)=ジャカルタで2018年7月26日、武内彩撮影
棒を使った形の練習をするインドネシア代表の男子選手=ジャカルタで2018年7月26日、武内彩撮影
迫力のある演武を見せるインドネシア代表の女子選手=ジャカルタで2018年7月26日、武内彩撮影

 インドネシアやマレーシアなど東南アジアで盛んな伝統武術「プンチャック・シラット」が、8月18日にジャカルタで開幕するアジア大会で初めて正式種目に採用された。世界最強の格闘技ともいわれるシラットに唯一の日本代表として慶応大4年の麻生大輔選手(24)が出場する。競技を始めてわずか2年ほど。7月末、ジャカルタで1カ月間の単身武者修行に励む麻生選手に意気込みを聞いた。

 アジア大会でも競技場として使用されるジャカルタのプンチャック・シラット武道館。黒い道着に白い帯を締めた姿で麻生選手が練習を始めた。穏やかだった表情が一変、視線がするどくなった。「右の視線に気をつけて」「もっと素早く」。インドネシア人の現地コーチから厳しい声がかかるたび、何度も同じ動きを繰り返した。

 麻生選手が出場する演武部門ソロでは、選手が素手と剣、棒の3種で100通りの形を3分間で演じ、技術の正確さなどを競う。全ての動作を行う演武の所要時間3分で許される誤差は前後5秒だけ。所要時間のずれは減点対象となり、集中力が求められる。大会ではほかに演武部門ダブルス、団体と、対戦形式の試合部門が行われる。

 シラットは武術ながら踊りの要素も随所に感じられる。指先までピンと伸びた所作には優雅さもあり、マレー文化圏では結婚式で祝いの舞として演じられることもある。力強さだけでなく、リズム感や柔軟性も求められるのが特徴だ。そして「イルム・パディ(実るほどこうべを垂れる稲穂かな)」を基本思想に据え、礼節を大事にする。日本プンチャック・シラット協会によると、日本国内の競技人口はおよそ70人だ。

アジア大会で活躍を

 麻生選手がシラットに出合ったのはインドネシア留学中の2015年。授業で体験したり、子供たちの演武を見るうちに興味を持ったという。本格的に始めたのは帰国してからだ。東京インドネシア共和国学校(東京都目黒区)で開かれる教室に通い始め、頭角を現した。

 7月初旬、アジア大会に向けて技を磨くためジャカルタ入りした。道場の隣にある合宿施設に泊まり込み、世界最強の呼び声高いインドネシア代表チームと生活を共にした。練習を間近に見られて勉強になるとともに、ライバル心にも火がついた。「マイナー競技だからこそ『大きな大会に出場できてよかったね』ではだめだと思う。メダルをとって活躍してこそ意味がある」と言い切る。

 現地コーチは、合宿中の麻生選手の成長ぶりに目を細める。力強さやキレという持ち味を生かしながら、迫力のある表情や柔軟性といった部分を伸ばせば上位入賞を狙えると期待する。

ライバル選手も応援

 麻生選手の練習前、道場ではインドネシア代表チームが汗を流していた。ダブルスに出場予定のヒジャブ姿の女子選手2人が攻守を素早く入れ替えながら、迫力のある演技を繰り広げていた。練習を終えると怖いほどの表情が一転し、麻生選手に「早く練習を始めろ」と手ぶりで促してきた。「お姉さんみたいで、いつも注意されています」と麻生選手。道場を去る男子選手からも次々に声が掛かった。

 留学中に身に着けたインドネシア語を駆使し、一人奮闘する姿はライバル選手ですら応援したくさせるようだ。麻生選手が出場する演武部門予選は8月26日に実施される予定。【武内彩】

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