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土記

女医にかかりなさい=青野由利

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     こんな小話を思い出した。父親と息子を乗せた車が交通事故で大破し、父親は死亡、男の子は病院に運び込まれた。出てきた脳外科の世界的権威は、この子を見て「私の息子だ!」と言った。

     さて、この外科医は誰?

     答えは母親。知っている人はともかく、初めて聞いた人は視点がくるっとひっくり返ったのではないだろうか。

     久しぶりに思い出したのは、もちろん、あのとんでもない医学部入試点数操作がきっかけだ。いまだに「医者は男」という思い込みが世間にあるとしても、まさか公平なはずの入試で「4浪男子」と「すべての女子」が同じように減点されていたとは。

     さらに驚くのは、この話に「現状を考えれば理解できる」という声があることだ。

     そういう人のために、つい最近、著名論文誌「米科学アカデミー紀要」に発表された調査結果を紹介したい。

     ミネソタ大、ハーバード大などのチームによる調査で、1991年から19年間にフロリダの病院に心筋梗塞(こうそく)で救急搬送された58万人について、患者の性別と医師の性別による死亡率の違いを調べた。

     その結果、男性医師の治療を受けた女性患者の生存率が最も低く、女性医師の治療を受けた女性や男性医師の治療を受けた男性の生存率を下回った。一方、女性医師が治療した場合は、患者が女性でも男性でも生存率は変わらなかった。

     言い換えれば、女性患者は女医にかかった方が生存チャンスが高まる。ハーバード大のプレスリリースは「あなたが女性で、心筋梗塞を発症したら、女医にかかること」と思い切りのいいタイトルをつけている。

     男性医師が女性患者を治療する経験を積んだり、女性医師と共に働く機会が増えたりすると、治療する女性患者の生存率が高まる傾向もあった。「女医を増やせば男性医師のスキルも上がる」というわけだ。

     そういえば、昨年、米カリフォルニア大ロサンゼルス校の津川友介さんも、「内科では女性医師が治療した方が、男性医師より死亡率や再入院率が低い」と論文発表し、世界的反響を呼んだ。どちらも米国の調査だが、この国に限った特殊性とは思えない。

     もちろん、男性医師に命を救われる人も多い。でも、女性医師の増加が患者にメリットをもたらすと思えば「女は出産でやめるから」などと言っている場合ではない。

     なんとかやめないでもらう手立てを考え、実行した方がいい。(専門編集委員)

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