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気鋭に迫る

師の息づかいから学ぶ 柳川三味線奏者・林美音子(37)

柳川三味線の魅力を発信し続ける林美音子。写真は今年5月、東大寺(奈良市)本坊で演奏した際の様子=本人提供

 三味線の祖型とされ、現在は京都だけで伝承される「柳川三味線」を受け継ぐ。「古典」と受け止められることが多い地歌の世界で、ジャンルを超えた取り組みにも積極的に挑戦する。「現代を生きる音楽として、より多くの人に親しんでもらうことが私の役目」。笑顔の裏に強い責任感がにじむ。

     柳川三味線は江戸時代初期の形を残すとされ、明治以降に一般的となった「九州三味線」より小ぶりでさおも細い。バチも小さく、勢い良く打ち付けるのではなく練り物をこねるように弾く。「遠音が差す」と言われるその音色は意外に野太く響く。「派手さはないが、この音でしか表現できない世界がある」

     柳川三味線を伝承する一般社団法人「京都當道会(とうどうかい)」の大師範、林美恵子さん(68)を母に持つ。物心つくころから三味線と箏(こと)に親しみ、初舞台は3歳。母の縁で、當道会会長を務めた故・津田道子さんからも直接柳川三味線の手ほどきを受けた。

     周囲からの大きな期待、重圧。「2世」のつらさも味わった。だが2世だからこそできることもある。「盲目の人たちが受け継いできた音楽。譜面だけでは再現できず、師の息づかいから学ぶ。母と生活を共にする私は誰よりもその息を知っている」

     真っすぐその道を歩んできたわけではない。大学卒業後は「この世界しか知らないままでは何かを見失いそうだった」と大阪のアクセサリーブランドで働き、宝飾デザインを学んだ。やりがいも感じたが「売れ筋」のデザインを求められた時など「私でなくてもできる」と物足りなさを感じた。3年ほど後、母と出演予定だった舞台の当日に美恵子さんの声が出なくなるトラブルがあった。急きょ演目を組み替え代役を務めることになったが、直前の調整だけで息の合った演奏ができた。「私にしかできないことはここにある」と母の背中を追い続けることを決めた。

     2011年に日本伝統文化振興財団の邦楽技能者オーディションに合格。狂言や現代舞踊とのコラボレーションにも挑戦した。16年度には京都市芸術文化特別奨励者に認定。9月17日に京都府民ホール・アルティ(京都市上京区)で開く美恵子さん社中の演奏会では、本條流家元・本條秀太郎さんへの委嘱作品である柳川三味線の大合奏曲でソロパートを担当する。

     若い世代への伝承にも力を入れる。8年前から和楽器講師として地元の小学校や大学で出張授業を続けている。「子供たちにとっては教える人がその楽器の象徴。少しでも『カッコイイ』と感じてもらえるよう自分自身も磨かないと」。未来を見据える目が輝いた。【花澤茂人】

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