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余録

清少納言は「名おそろしきもの」--恐ろしい名前のものづくしの一つに…

 清少納言(せいしょうなごん)は「名おそろしきもの」--恐ろしい名前のものづくしの一つに「雷(いかずち)」を挙げ、「名のみにもあらず、いみじうおそろし」と書いている。雷嫌いだったようで、その後には「肘笠雨(ひじかさあめ)」も挙げている▲かさをかぶる間もなく、肘をかさ代わりにするような急な雨をいう。名前はそう恐ろしくなさそうだが、清少納言は急な雷雨の怖さが頭にこびりついていたのか。今日では「ゲリラ豪雨」「ゲリラ雷雨」という十分恐ろしき名がある▲枕草子は当時の朝廷で行われた「雷鳴(かみなり)の陣」も「いみじうおそろしけれ」と記している。雷鳴があると近衛(このえ)の諸将が清涼殿に陣を敷き、弓の弦を鳴らして天皇を守護した。鳴弦(めいげん)には魔をはらう呪術的な力があると信じられていたのだ▲西日本を中心に猛暑の続く一方で、東日本では雷をともなう急な雨や局地的豪雨など不安定な天気に見舞われている列島である。以前は風情ある「夕立」だったものが、何やら人の油断を突いて急襲する悪意を感じさせる昨今である▲将兵の配備や、鳴弦はかえって危険なゲリラ雷雨だが、現代の「雷鳴の陣」もある。レーダー観測の精密予測をスマートフォンで共有し、またスマホ利用者からの各地の情報をさらに精密な予測に生かすネットワークの“陣”である▲災害級の酷暑の合間は雷と局地的豪雨、そして台風襲来--「荒々しい夏」が際だつ今年だが、これがこれからの夏と思った方がいいのだろう。その恐ろしさが名だけではないと肌身で知った「地球温暖化」だ。

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