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社説

豊洲新市場への移転 安全宣言でも課題は残る

 東京都の小池百合子知事が、豊洲市場の開設認可を農相に申請した。認められれば、今年10月11日に開場する予定だ。

     当初の予定から約2年遅れての開場になる。この間、豊洲市場への移転問題は大きく揺れた。

     功績があったのは、石原都政時代からの、安全面のずさんさを顕在化させたことだ。

     小池氏は、就任直後の2016年8月末、豊洲市場の安全性が不明確だとして移転延期を決めた。検査の結果、盛り土がない地下空間が判明し、地下水から基準値を大きく上回る有害物質も検出された。

     小池氏が登場したことで、豊洲市場の問題点が浮き彫りになった。地下の床をコンクリートで覆い、地下水位を下げるポンプを増設するなど汚染対策を完了させた。

     40億円近い費用がかかったが、必要な対策を講じたことで、消費者の不安を減じたことは確かだろう。

     だが、小池氏が「安全宣言」をしても依然、地下水からは有害物質の検出が続く。安全確保の調査を続け情報発信することが欠かせない。

     マイナス面は、市場移転の具体的な全体像を描かなかったことだ。

     小池氏は昨年6月、都議選を前に「築地は守る、豊洲を生かす」と宣言し、築地を食のテーマパークとする構想を打ち出した。しかし、構想自体が生煮えだったため、築地に残留を希望する市場の業者は、将来設計を描けないままだ。

     豊洲に同様の施設を造る予定だった民間業者は競合を嫌い、計画を先送りにした。それまでは暫定施設を都が整備するという。新たに税金が投入されることになる。

     移転の遅れで、20年の東京五輪・パラリンピックにも影響が及ぶ。

     築地市場跡地には選手村と大会会場を結ぶ都道が計画される。片側2車線の予定だったが、工事が間に合わず、片側1車線の暫定道路になる。車線減で懸念される渋滞をどう解消するのかも課題だ。

     小池都政は、外部の有識者が政策の方向性を決めてきた。中でも移転問題ではそれが顕著だった。

     小池氏は4年の任期の折り返し点を迎えた。これまでの批判を受け止め、行政全体を把握する政治手法への改善が求められる。

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