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社説

日米の新たな貿易協議 選挙目当ての取引を排せ

 日米両政府は、閣僚級による新たな貿易協議の初会合を行った。トランプ米大統領はかねて対日貿易赤字を問題視しており、今年4月の首脳会談で開催が決まったものだ。

     会合で米国は日本との自由貿易協定(FTA)を念頭に置いた2国間交渉を求めた。一方、日本は米国に多国間の枠組みである環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への復帰を促した。議論は平行線をたどり結論は来月以降に持ち越された。

     さらに米国は輸入車への高関税発動を検討している。会合でも日本を対象から除外すると明言しなかった。今後、発動をちらつかせ、2国間交渉を迫ってくる可能性がある。

     2国間交渉は超大国に有利だ。だが相手を脅し一方的譲歩を迫る手法は公正な貿易をないがしろにする。

     そもそも米国の主張は身勝手だ。

     トランプ氏は日米の自動車貿易が不公正と批判してきた。しかし日本は既に関税を撤廃している。関税が残っているのは米国の方である。

     日本には農産物市場の開放も促そうとしているが、中国との貿易戦争で農産物に報復関税を課せられ、輸出先に困っているからではないか。

     3カ月後に迫った米中間選挙は、与党・共和党の苦戦が予想されている。トランプ氏は大統領選勝利の原動力となった白人の工場労働者と農家の支持固めに躍起となっている。

     それには自動車と農産物で成果をもぎ取る必要があると踏んでいるのだろう。遊説では米貿易赤字の削減を目指すと繰り返し訴えている。

     しかし、トランプ氏がもくろむ選挙目当ての取引に日本は利用されてはいけない。

     本来、自由貿易は関係国が互いに市場を開放し、経済全体の底上げを図るものだ。日本は今後の協議で、こうしたルールに基づく公正な自由貿易こそ、米国にとっても利益が大きいと粘り強く説くべきである。

     日本政府には自動車の高関税を避けるため、FTA交渉を容認する声もある。だが安易な妥協は禁物だ。いったん受け入れると米国が要求をどんどんつり上げる恐れがある。

     トランプ政権は欧州連合(EU)と行っている貿易協議でも、自動車の高関税をちらつかせて交渉を有利に進めようとしている。日本はEUなどと連携し米国に対抗すべきだ。

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