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炎のなかへ

/230 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

その夜(65)

 タケシはまだ新しい死の苦痛に身体(からだ)を震わせながら、先手をとっていった。

「父は確かにアメリカ人です。息子さんがサイパンで戦死されたのも知っています」

 絣(かすり)の防空頭巾の女がきょとんと不思議そうな顔をした。さあ、どうしよう。あと数十秒でここに爆弾が落ちてくる。すぐ逃げなければ、国民学校の塀に身を寄せた数十人の避難民が命を落とすのだ。爆弾だと叫べば、みな逃げてくれるだろうか。まさか。タケシは口に両手を当て、断固として叫んだ。

「みなさーん、ここから離れてください。昨日、憲兵さんにききました。磯村憲兵大尉です。B29の爆撃手は…

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