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余録

「こちらは毎日 B29や艦上爆撃機 戦闘機などが縦横むじんに…

 「こちらは毎日 B29や艦上爆撃機 戦闘機などが縦横むじんに大きな音をたてて 朝から晩まで飛びまはつてゐます B29は残念ながらりつぱです」。昭和天皇の玉音放送の2週間後、香淳(こうじゅん)皇后は手紙に書いた▲あて先は当時11歳の皇太子、今の天皇陛下である。「おもうさま(お父さま) 日々 大そうご心配遊(あそば)しましたが 残念なことでしたが これで 日本は 永遠に救はれたのです」。終戦で「救はれた」というのが“肉声”だったのだ▲奥日光に疎開していた皇太子への昭和天皇の手紙はよく知られる。今まで戦争の実情を話さなかったのを、先生と違うことを言うことになるので控えていたと述べ、「ゆるしてくれ」と記した。天皇父子も拘束した軍国の建前だった▲平成最後の「終戦の日」となるきょうである。全国戦没者追悼式でおことばを述べる天皇陛下には73年前の夏に受け取った手紙から始まった戦後だった。内外の戦没者の慰霊と平和の祈りを自らの全霊で引き受けた在位の30年である▲戦争の無残を生身で体験した人々の肉声を聞き、その声を胸に次の時代へ向けた営みが重ねられた戦後日本だった。それも昭和から平成、そして来年5月には三つめの年号の時代へと入る。「声」はどのように引き継がれるのだろう▲「戦(いくさ)なき世を歩みきて思ひ出(い)づ かの難(かた)き日を生きし人々」は天皇陛下のお歌である。内外の戦没者の魂に平和を誓うこの日、痛恨の肉声を歴史意識によみがえらせる営みの絶えることがないよう願う。

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