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社説

文大統領の光復節演説 南北協力は国際協調下で

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が、就任から2回目の「光復節」演説を行った。昨年に比べ、南北の経済協力に比重を置いたのが特徴だった。

     日本の植民地支配からの解放を祝うこの日は例年、民族分断の悲運に思いをはせる一日だ。演説で統一への道筋を語るのが通例である。

     文氏は、過去の協力事業による雇用創出実績や、少なくとも経済効果は170兆ウォン(約17兆円)との試算を披露して、いかに南北協力が国内経済にプラスとなるかを強調した。

     内政最大の課題である雇用問題への解決策とアピールし、経済協力の意義を訴えたのだろう。米朝対話が失速する中、北朝鮮に魅力的な未来図を示し、非核化を後押しする狙いもあるようだ。

     しかし、北朝鮮は依然として、国際社会が納得しうる非核化への具体的措置を取っていない。にもかかわらず、演説では「平和」が21回、「経済」が19回登場したのに対し「非核化」は7回にとどまった。しかも北朝鮮が強く求める開城工業団地や金剛山観光の再開にまで触れた。

     南北の経済協力で北東アジアの緊張緩和を図り、停滞する経済の起爆剤にするとの構想は分かる。ただ、北朝鮮の核放棄に向けた工程表作成も緒に就かない現段階で、経済協力を語るのは時期尚早ではないか。

     文氏は経済協力の前提はあくまで北朝鮮の非核化との立場を再確認した。それでも、文氏の支持率は下落傾向で、政権浮揚に南北関係を利用したい思惑がうかがえる。

     韓国政府は先日、国連安全保障理事会の制裁決議に違反し、北朝鮮産石炭の密輸入をした業者を摘発したと発表した。制裁への緩みがなかったかと国際的に疑問を持たれている状況である。経済協力に軸足を置くことには慎重であるべきだ。

     一方、演説で日韓間の歴史問題には触れず、未来志向的な協力関係を目指す考えを示したことは評価したい。日朝の関係改善を支援したいとのメッセージも、日本は前向きに受け止めるべきだろう。

     9月には韓国大統領として11年ぶりの平壌訪問が予定されている。北朝鮮側はさまざまな手法で韓国からの経済協力を得ようとするだろう。

    国際社会との協調が重要な局面であることを常に意識してほしい。

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