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金正男氏殺害

2被告公判、続行か無罪か 16日に判断

シティ・アイシャ被告(左)ドアン・ティ・フオン被告=AP
金正男氏暗殺事件の経緯

マレーシア・クアラルンプール近郊の高等裁判所

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏(当時45歳)が2017年2月にマレーシアで殺害された事件で、実行役として殺人罪に問われたベトナム人のドアン・ティ・フオン(30)、インドネシア人のシティ・アイシャ(26)両被告について、クアラルンプール近郊の高等裁判所が16日、無罪か公判を続行するかを判断する。弁護側が明らかにしたフオン被告の供述調書などから、事件を振り返る。【バンコク西脇真一、クアラルンプール武内彩】

 16年12月27日午後、ハノイのバーを東洋系の男が訪ねて来た。ベトナム語を話し経営者夫婦が知る運転手の紹介だと言った。「ビデオに出てくれる女優を探している」。店にいた妻が誘われたが「子供がいる」と断った。代わりに紹介したのがフオン被告だった。

 2人はその半年ほど前までハノイの飲食店で同僚だった。端役ながら女優として活動していると聞いていた。

 「Yと呼んでくれ」。バーに来たフオンに男が言った。「液体を誰かの頭にかける」。その場で「いたずら」の内容を説明した。

 マレーシア警察などによると「Y」は事件後、北朝鮮に逃れたリ・ジヒョン容疑者(33)だ。父親が元駐ベトナム北朝鮮大使で、ハノイへ留学経験もある。17年1月に入ると、2人は各地で「撮影」と称するリハーサルを繰り返すようになる。

 アイシャ被告も同5日、クアラルンプールのバーで地元タクシー運転手に「日本人がいたずらビデオに出演する女優を探している」と誘われた。快諾すると「ジェームス」に紹介された。警察が重要参考人として行方を追う「リ・ジウ」と呼ばれる北朝鮮籍の男だ。

 事件当日の2月13日朝、フオン被告はクアラルンプール国際空港第2ターミナルでYと落ち合った。この日の撮影は「とても重要だ」と聞いていた。

 Yはその日「より良いビデオを作る」ため「男優」と「女優」を雇ったと言った。相手に遠慮して失敗しないようにするためのウソだろう。「女優」はアイシャ被告のことだ。

 Yは「男優」の容姿を「黒いバッグにジャケット。太っていて髪がない」と説明。金正男氏と重なる。フオン被告は、言われた通り「男優」を凝視している間に手にまた何かを塗られた。それまでのベビーオイルとは感触が少し違っていた。

 そして「女優」に続き背後から「男優」の顔を手でなでた。そのとき「嫌な臭い」を感じた。その場を離れ4階から2階のトイレに入った。Yから「洗ってもいいが(現場)近くのには行くな」と言われていたからだ。

 フオンは後に「アレルギー反応や(皮膚が)焼けるような感じはなく、めまいや吐き気もなかった」と供述したが、粘ついた不快感がなかなか消えず、石けんで念入りに手を洗う必要があったという。

 顔をなでられ死亡した金正男氏の目の粘膜などからは、猛毒の神経剤VXが検出された。

 両被告の弁護側は「いたずらビデオの撮影と思っていた」「VXと知らなかった」などと殺意を否認し無罪を主張。一方、検察側は両被告がリハーサルを重ねていたことや、後で手を洗ったことから「計画的」でVXの危険性を認識していたと指摘。効果の出やすい目を狙った点に「殺意」も認められると指摘する。

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