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社説

富田林署から容疑者逃走 信じがたいずさんな管理

 いくつもの不手際が重なっての失態である。大阪府警富田林(とんだばやし)署に勾留されていた容疑者の男が、弁護士との接見後に逃走した。

     留置施設の管理の手抜かりから住民に不安を広げた事態を警察全体が重く受け止める必要がある。特殊な事例とかたづけず、徹底検証したうえで防止策を講じるべきだ。

     信じ難い管理のずさんさである。

     面会室の扉には開閉で音が鳴るセンサーがあったが、1年以上前から電池が抜いてあった。接見終了に気付いたのは1時間45分たってからだ。弁護士から声掛けがあると思っていたという。接見が日曜夜で隣室の受付に署員はおらず、無人だった。

     しかも容疑者が壊したとみられる接見室のアクリル板は、金属枠との間に容易に隙間(すきま)ができた。約30年前から一度も交換されていない。塀の近くには脚立まで置かれていた。

     2007年に栃木県で、弁護士と接見後に容疑者が面会室で自殺した事件があった。警察庁の指示で府警は扉へのセンサー設置などを決めた。しかし、こうした対策も規律がゆるんでしまえば無意味になる。

     逃走発覚後の対応も問題だ。発覚から3時間後に報道機関へ情報提供した。だが、防犯情報を知らせるメールの発信は9時間後の翌朝で、防災無線による注意喚起を周辺自治体に要請したのは16時間後だった。

     容疑者は窃盗や強制性交等などの容疑で計4回逮捕され、勾留されていた。住民に戸締まりの徹底などを呼び掛ける局面であり、警察は早急に情報を伝えるべきだった。

     署側は「捜査を優先して、やるべきことをやっていた」と言うが、説明にならない。最悪の事態を防止するため必要な手立てを講じる危機管理の意識が希薄だった。

     逮捕・勾留された容疑者には、弁護士と接見できる権利が認められている。時間の制限はなく、手錠は外され、警察官の立ち会いもカメラによる監視も許されていない。

     今回の事案を理由に、接見に制約を加えるような議論があるとすれば本末転倒だ。接見の権利が保障されるためにも面会の終了を把握できる態勢づくりを急ぐ必要がある。

     警察庁は面会室の管理も含めて、全国の留置施設の一斉点検を急がねばならない。

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