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社説

過労死防止の対策 残業規制だけでは足りぬ

 過労死や過労自殺で労災認定された人は毎年200人近くに上る。どうすれば根絶できるだろうか。

     7月に「過労死防止大綱」改定版が閣議決定され、終業と次の始業の間に一定の休み時間を設ける「勤務間インターバル制度」の導入促進などが明記された。

     通常国会では労働基準法が改正され、残業時間の罰則付き上限規制が初めて法律に盛り込まれた。

     だが、長時間労働の改善だけで過労死がなくなるわけではない。

     2017年度に過労死・過労自殺(未遂を含む)で労災と認定された人は計190人だった。脳・心臓疾患での過労死は92人で前年より15人減ったが、精神疾患での過労自殺は98人で前年より14人増えた。

     「過労死ライン」とされる月80時間以上の時間外労働をしていた人は、脳・心臓疾患では9割に上るが、精神疾患では6割に満たない。パワハラなどで精神的に追い詰められるケースが多いと見られる。

     申請件数を見ると、精神疾患は1732件で、脳・心臓疾患の約2倍に上る。パワハラなどは記録に残らないため立証が難しく、申請しても認定されないケースが多いためだ。本人や遺族に自覚がなく、申請に至らない例も多いとされる。

     過労死防止大綱では、精神疾患での労災認定が3年間に2件以上あった会社は労働基準監督署の指導を受けると明記された。しかし、認定そのものが少ない現状では、効果は限定的と言わざるを得ない。

     残業時間の規制がかからない裁量労働制で働いていた人の過労死・過労自殺も14件が労災認定された。

     裁量労働は専門業務と企画業務にしか認められていない。一般職に適用する違法行為が問題とされているが、労災認定された人のほとんどは専門業務などの要件を満たしていたという。

     形式的に専門業務などとされていても、実際には働き方に裁量がなく、過重な仕事を任されて長時間働いている人が多いのだろう。現状の運用をチェックし、制度の見直しを検討する必要がある。

     残業の規制だけでは埋められない穴は多い。健康管理やパワハラ防止策を企業側に徹底させ、相談体制の充実にも努めなければならない。

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