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社説

イスラエルの強硬化 中東和平の前途がかすむ

 中東和平の前途がますますかすんでいる。イスラエルのネタニヤフ政権の強硬化が著しいからだ。

     イスラエル国会は先月、右派勢力が主に後押しした「ユダヤ人国家法」を賛成多数で可決した。従来あった基本法を改定し、ユダヤ人のみが「民族自決権を持つ」とするなど、ユダヤ人の優位色をより強めた。

     特に問題視されているのは、公用語をユダヤ人が使うヘブライ語のみとし、アラブ系住民が使うアラビア語を外した点だ。

     イスラエル国内にはアラブ系住民が約2割おり、先日、3万人規模の反対デモを繰り広げた。少数派のアラブ系が「我々を2級市民扱いするのか」と怒るのは当然だろう。

     イスラエルは1948年、ホロコーストの苦難をくぐったユダヤ人が築いた国家だ。ネタニヤフ政権は建国70年を機に改めてユダヤの民族主義を強調したかったのだろう。

     しかし、当時の独立宣言や後にできた基本法は、ユダヤ人国家と同時に、宗教や人種の平等をうたい、民主国家を目指すことを掲げてきた。

     パレスチナとの和平と共存という目標がありながら、パレスチナ人の同胞であるアラブ系住民を公平に扱わず、あつれきの原因を作ることは賢明ではない。

     新法でさらに懸念すべきなのは、ユダヤ人入植地の発展を「国家的価値」と位置づけ、建設の促進を唱えた点だ。

     ユダヤ人入植地はイスラエルが67年の第3次中東戦争で占領・併合した元のパレスチナ側の土地に、強引に拡張して作った住宅地だ。領土を分け合うべきである和平交渉を常に阻害してきた。

     国連安保理も違法だと非難し停止を求める入植活動を、逆に奨励するなど、国際的に容認されまい。

     ネタニヤフ政権の強硬化の背後には、トランプ米政権によるイスラエル一辺倒の支援がある。米国は首都エルサレムを認定して大使館を移転した。

     一方で国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への拠出金を半分以上凍結し、パレスチナを極端に冷遇する。

     建国70年は紛争が70年続いている歴史でもある。強硬な姿勢のままでは穏当な解決など望めない。

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