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社説

トルコ通貨危機と米国 混乱収拾へ双方が自制を

 強権・剛腕の首脳同士の意地の張り合いが国際経済をゆがめ、世界を不安定にしていないか。

     米国とトルコの対立である。米トランプ政権はトルコで自宅軟禁となっている米国人牧師の釈放を求めてトルコの閣僚を経済制裁の対象に指定し、同国から輸入する特定品目の追加関税率の引き上げも決めた。

     一方、トルコのエルドアン政権も同様の措置を取り、米国製品の不買運動を呼びかけるなど一歩も引かない構えだ。この対立を背景にトルコの通貨は急落し、南アフリカやアルゼンチンなど新興国の通貨も下落するなど混乱が広がっている。

     歩み寄る余地はないのか。トルコ政府は2016年のクーデター未遂後、首謀者や関係者とされる多くの人々を拘束し、政府に批判的なメディアを閉鎖するなど強権的な政治で国際社会の非難を浴びてきた。

     この事件に関連してトルコ政府は在米のイスラム教指導者の引き渡しを求め、米国はこれを拒否した。米国が釈放を求める福音派の牧師もこの事件に関して拘束されている。

     だが、関与が事実かどうか、一般には見えにくい。トルコの裁判所は先週、牧師の釈放請求を却下したとはいえ、人権の観点から軟禁を見直す必要もありはしないか。

     米国への疑問もある。秋の中間選挙を前に、トランプ政権はイスラエルの米大使館をエルサレムに移転させ、イランとの核合意離脱を表明するなど、福音派の歓心を買うような政策を強引に推し進めた。福音派の牧師釈放を求める対トルコ制裁もその一環との見方が強い。

     だが、トルコは米国主導の北大西洋条約機構(NATO)の一員であり、安全保障のほか欧州の移民問題でも重要な役割を果たしてきた。

     トランプ氏は先月のNATO首脳会議でも加盟国に厳しい言葉を投げかけたが、同盟国との信頼関係や長期展望に重きを置かず、目先の利益を追求しているようにも見える。

     また、米国は従来、地域的な経済危機に対して国際通貨基金(IMF)などを通じて沈静化を図ってきた。トランプ政権はむしろ、危機を作り出している印象が否めない。

     小さな火を放置して大火に発展することもある。まずは当事国の自制により危機の広がりを防ぐべきだ。

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