メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

スペイン

死後43年、フランコ総統 スペイン揺らす、独裁者の墓移設 「ファシズム象徴」×「歴史の一部」

フランコ総統

 【パリ賀有勇】スペインの中道左派サンチェス政権は、36年間にわたり独裁体制を敷いたフランコ総統(1892~1975年)の墓を移設する政令を24日にも閣議決定する。北東部カタルーニャ自治州を弾圧した独裁者の墓を移し、カタルーニャ独立派の中央政府への反発を和らげる狙いもあるとみられる。移設先は明らかにされていない。墓の移設について世論の賛否は分かれている。

     墓は、マドリード北西40キロの慰霊施設「戦没者の谷」の大聖堂にある。スペイン内戦(1936~39年)の戦死者を悼む場としてフランコ総統が建設を命じ、59年に完成した。犠牲になった約3万3000人が眠る。フランコ将軍が率いる反乱軍と戦った人民戦線の兵士も埋葬されている。身元不明の遺体も多い。

     政治犯として捕らえられた左派が墓の建設に従事させられた歴史があるほか、「ファシストの聖地」化している面もあり、サンチェス首相が書記長を務める社会労働党など左派陣営にとって墓の移設は「悲願」だった。

    大聖堂内にある独裁者・フランコ総統の墓には今も花がささげられている=マドリード郊外で7月、AP

     6月に首相に就任したサンチェス氏は「国民分断の象徴を放置できない」として遺体を掘り起こすことを明言。政令を閣議決定し、議会下院の承認を得る方針だ。

     フランコ体制の流れをくむ最大野党の国民党(中道右派)は採決を棄権するとみられている。国民党内には墓移設への反対意見も根強いが、反対することでファシズムを肯定する印象を与えかねないからだ。国民党のカサド党首の祖父は、フランコ政権によって政治犯として投獄されており、心情的に反対に回れない党員もいるという。

     一方、世論は二分されている。有力紙エルムンドが7月に実施した世論調査によると、墓の移設賛成は約41%。「歴史の一部として残すべきだ」との意見もあり、反対は約39%で拮抗(きっこう)している。

     サンチェス政権が墓を移す方針を示した背景には、「カタルーニャ自治州の独立派の注意をそらす狙いがある」との指摘もある。フランコ独裁政権は、カタルーニャの民族主義を徹底的に弾圧して自治権を廃止、カタルーニャ語も禁止した。現在のカタルーニャ独立運動の背景の一つには、こうした歴史的経緯がある。

     カタルーニャは昨年10月、独立を問う住民投票を実施。独立派は、カタルーニャの自治権を停止した当時のラホイ首相を、フランコ総統になぞらえて非難した。


     ■ことば

    スペイン内戦

     1936年に誕生した左派の人民戦線政権に対し、フランコ将軍率いる反乱軍が蜂起。独伊軍の支援で反乱軍が勝利し、フランコ独裁が確立された。39年までの内戦で50万人が犠牲となった。独空軍がゲルニカを爆撃し、2000人以上が死亡した悲劇はピカソの大作「ゲルニカ」に描かれた。国際義勇軍として、米作家ヘミングウェーや英作家オーウェルらが人民戦線側で戦った。

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 日産会長逮捕 ゴーン神話「数字の見栄え良くしただけ」
    2. ゴーン会長逮捕 日産社長「私的流用、断じて容認できない」 会見詳報(1)
    3. 日産 ゴーン会長を解任へ 「会社資金を私的に流用」
    4. 高校野球 練習試合で頭に死球、熊本西高の生徒が死亡
    5. 日産会長逮捕 再建神話、地に落ち 社員に衝撃と動揺

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです