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社説

温暖化対策の長期戦略 脱炭素化促すビジョンを

 政府の有識者懇談会が、パリ協定に基づく地球温暖化対策の長期戦略に関する議論を始めた。温室効果ガスを2050年に8割削減するという長期目標の実現に向け、基本的な考え方を来春までに提言する。

     温暖化の脅威が現実化する中、世界は化石燃料への依存から脱却する「脱炭素化」に大きくかじを切っている。再生可能エネルギーの大胆な導入目標を設定するなど、技術革新や社会の構造転換を促す明確なビジョンの提示が戦略には必要だ。

     大規模な投資の効果などで、世界では、太陽光や風力の発電コストが火力発電並みかそれを下回る水準になった。石炭など化石燃料への投資撤退を表明する投資家や企業も相次ぐ。気候変動や社会貢献への取り組みを重視して投資先を選ぶ「ESG投資」も拡大の一途だ。

     気候変動対策にどのように取り組んでいるかが、企業価値を左右する時代になっているのだ。

     だからこそ世界の主要企業では、使用する電気を100%再生エネで賄うことを誓約する「RE100」や、パリ協定に沿った科学的な温室効果ガスの削減目標を設定する「SBT」などの取り組みが進む。

     米アップルが取引先の企業にも再生エネ利用を促すなど、その対象は国境を越えて広がる。

     日本には、優れた環境技術を持つ企業が多い。国内の再生エネの拡大が遅れることで、日本企業の評価が下がるとすれば残念だ。それでは海外からの投資も伸びない。

     安倍晋三首相は有識者懇で「温暖化対策は企業にとってコストではない。競争力の源泉だ」と述べた。

     だが、政府が先月閣議決定したエネルギー基本計画では、石炭火力を重要なベースロード電源と位置付ける一方で、各国が再生エネの導入などで野心的な戦略を競う50年目標の設定は見送ってしまった。30年後を正確には見通せないためというが、首相の発言と矛盾しないか。

     パリ協定に沿い、脱炭素化の方向性を示すのが政府の役割だろう。

     政府は有識者懇の提言を受け、来年6月に大阪で開催する主要20カ国・地域(G20)首脳会議までに長期戦略を策定する。議長国として環境分野の交渉をリードするためにも、意欲的な戦略を打ち出してほしい。

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