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佐賀オスプレイ受け入れ

知事、100億円基金創設を強調

会見をする山口知事=佐賀市で2018年8月24日午後3時20分、竹林静撮影

山口・県知事「熟慮に熟慮を重ねた結果だ」

 「熟慮に熟慮を重ねた結果だ」。佐賀空港(佐賀市)への陸上自衛隊の垂直離着陸輸送機オスプレイ配備計画は、防衛省の要請から4年を経て、山口祥義(よしのり)・佐賀県知事が24日、受け入れを表明した。「金の問題じゃないが」としながらも、防衛省と合意した100億円の基金創設を強調。計画地の地元漁協も協議に応じる姿勢を示すが、事故などを懸念する漁業者や県民からは反発の声も上がる。【関東晋慈、池田美欧、竹林静】

     山口知事は小野寺五典防衛相との合意後、県庁で臨時記者会見を開いた。漁業者の反発を考慮し苦渋の表情で「100億円の基金で(事故などの不安が)払拭(ふっしょく)されるとは思わないが、一定の形ができたと思う」と述べた。

     その後、県有明海漁協の徳永重昭組合長と面談し合意について説明。「国との交渉を皆さんと調整できないという状況が切ない。皆さんからすると話もなく作られたということで、不快になられる方も多いと思う」とした上で「(基金は)望まれているものに自由に使える。有明海漁協の特定財源的なものだというふうに考えている」と、漁業者に寄り添った施策だと訴えた。

     防衛省や県によると、100億円の金額は県側から防衛省に申し入れた。県幹部は「漁業者の心を揺さぶらないと。それなりのインパクトがないといけなかった」と明かす。

     計画地の地権者は約550人おり、そのうち漁協の正組合員が約350人を占める。山口知事の説明を聞いた徳永組合長は「知事が表明したということで組織として受け止めて対応していかないといけない。だが、組織が判断しても(個々の)地権者がいるので難しい」と答えるにとどめた。今後、支所の幹部が集まる会議で県が説明するように求めた。

     知事の受け入れ表明に明確に「ノー」を突き付ける地権者もいる。計画に反対してきた佐賀市の「地域住民の会」会長で、ノリ漁業者の古賀初次さん(69)は「県民や漁業者に寄り添うと言っていた知事の言葉は何だったのか。漁民の気持ちを考えないで踏みにじった。知事のことは信用できない」と反発した。

     住民らの不安も根強い。今年2月に佐賀県神埼市で陸自ヘリコプターが墜落した事故現場の前区長、松永順二さん(68)は「事故からまだ半年しかたっていない中で時期尚早」と懸念を示す。

     佐賀空港の地元、佐賀市川副町の自営業の男性(68)は「個人的には防衛に協力したいと思うが、地域には騒音や有明海の環境、漁業への影響を心配する人もいる。県はしっかり説明や補償をして地域で対立が起きないようにしてほしい」と語った。

     受け入れ表明は周辺自治体にも波紋を広げた。悪天候時の飛行ルートに当たり、佐賀県に事前の協議を求めていた福岡県柳川市の金子健次市長は「裏切られた気持ちだ」とするコメントを発表し、不快感をあらわにした。

    有明海の漁業者、国の公共事業に元々、不信感

     有明海の漁業者は国営諫早湾干拓事業(長崎県、諫干)による漁業不振も訴えており、元々、国の公共事業へ不信感がある。国がオスプレイの安全性を強調し、漁業への影響を否定しても懐疑的だ。

     中でも漁業者が懸念するのが、江戸前すしの光り物として重宝され、有明海が全国有数の産地のコハダ(コノシロ)への影響だ。コハダは音に敏感なため、防衛省九州防衛局は昨夏、オスプレイの録音音源などを使った騒音調査を実施。今月21日に調査結果を報告したが、「調査事例が限定的で、影響の有無は断定できない」とする内容に漁業者は反発し、再調査を求めた。

     小野寺防衛相は24日の山口知事との面談で「追加的な調査を早期に実施し、(オスプレイの)飛行経路や飛行時間帯の制限など取り得る対策を検討したい」と述べたが、県有明海漁協大浦支所の弥永達郎・運営委員長(62)は「被害が出ても国が認めなければ、諫干の二の舞いになる」と疑念を隠さない。【関東晋慈、池田美欧】

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