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余録

「病気になって一番つらいのは、病気になったことよりも…

 「病気になって一番つらいのは、病気になったことよりも、妻と子どもたちに心配をかけていることです」。5年前に若年性認知症と診断された丹野智文さん(44)の言葉だ。不安でどこに何を聞いたらいいかもわからなかったという▲認知症と診断されると、たいていは精神的に落ち込み、悲観して閉じこもりがちになる。初期は症状が軽いため、介護保険などで受けられるサービスもほとんどない▲若年性認知症の場合は働いている人が多い。仕事で失敗をしても同僚に言えず、しばしば誤解される。仕事をやめたり解雇されたりした経験のある人は8割近くにも上る▲厚生労働省は来年度、認知症の人同士が互いに相談する活動への補助を検討している。同じ障害や病気の人でなければ不安な心理や生活上の問題はわからないこともある。アルコール依存症や精神障害の人々の間では以前から「ピア(仲間)サポート」が行われ、成果をあげている▲認知症対策といえば、以前は治療薬の開発が注目された。現在、日本ではアルツハイマー型認知症などの治療薬に年間約1500億円の医療費が使われている。ところが、フランスでは今年8月、同治療薬には効果がないとして保険適用から外された▲薬よりも病気を受け入れられる環境が必要だと丹野さんは語る。自分より先に認知症になった人との出会いが、前向きに生きることを教えてくれた。「認知症は誰でもなり得る病気です。できないことはあるが、できることもたくさんある」

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