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シリア難民

希望のサカベコ、日本で販売計画

リーム・アッバスさん(右)に「サカベコ」作りを教えてもらうシリア難民の子供たち=イラク・アルビル郊外のダラシャクラン難民キャンプで2018年8月9日、木葉健二撮影
シリア難民がサッカー・バルセロナのメッシ選手をイメージしてペイントしたサカベコ=JIM-NET提供

 イラクのシリア難民が、福島・会津の民芸品「赤べこ」をアレンジしてサッカーのユニホーム姿に彩った「サカベコ」を日本で販売する計画が進んでいる。イラクや東日本大震災の被災地で活動する日本のNPOが指導。NPOは「人々の生きがいのため、一つの産業に育てたい」と期待を込め、現地スタッフの難民女性は「サカベコを手に取り、どうかシリア難民の苦境に目を向けてほしい」と訴えている。

     8月9日、イラク北部・クルド人自治区の中心都市アルビル郊外にあるダラシャクラン難民キャンプ。5~12歳のシリア難民の子ども11人が集まり、イラクの新聞紙で作った張り子のペイントに取り組んでいた。見本はスペインの強豪バルセロナでプレーするメッシ選手の写真。「間違えたら直してあげるからね」。手を絵の具だらけにした子どもたちにシリア人女性、リーム・アッバスさん(25)が優しく声をかけた。

     アッバスさんはNPO「日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)」(東京)の現地スタッフ。シリアの首都ダマスカス郊外の看護学校に通っていたが、内戦の戦禍を逃れてアルビルのキャンプへ移り、2013年に難民登録。看護師になる夢は遠のいたが、妊産婦支援を始めようとしていたJIM-NETに採用された。

     JIM-NETが赤べことイラクをつなげたのは東日本大震災翌年の12年1月。原発事故の被災地支援も兼ね、佐藤真紀事務局長(57)が福島で数十個を買い、アルビルの病院に入院する小児がんの子に配った。「首がゆらゆら動くのを喜んでくれて」。病室に笑顔が広がった。以来、子どもの健康を守るとされる赤べこを届けてきた。

     ワールドカップ(14年)のアジア最終予選でイラクと日本が対戦した際には、スタッフらで赤べこを両チームのユニホーム色に初めてペイント。その後はイラクの小児がんの子や戦闘で負傷したシリア難民、福島の子らに塗ってもらったサカベコの展示会を開き、寄付を呼びかけてきた。

     「難民が一からサカベコを作れるように」。佐藤さんらは数年前から民芸品製造の「荒井工芸所」(福島県会津若松市)で張り子を作る技術を習得し、アッバスさんに伝授。今年7月、アッバスさん自身も荒井工芸所を訪れて学んだ。工芸所常務の荒井美枝子さん(71)は「私たちが赤べこに込めてきたのは幸せへの願い。国がどこだろうと、みんな願いは一緒だと思う」と話す。

     サカベコの販売は、今秋にもNPOの会員を対象に始め、軌道に乗ってから販路の拡大を目指す。収益は作り手の難民に還元する。

     国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、イラクに逃れているシリア難民は7月末現在約25万人。気温が連日40度を超える厳しい環境の下、大勢の人々がキャンプで、平和になった故郷に戻れる日を待ちわびている。【イラク北部・アルビルで千脇康平】

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