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余録

明治維新150年の今年だが…

 明治維新150年の今年だが、1990年代の方が維新の論議は盛んだった。ときは世紀末。20世紀の日本を規定した維新に代わる新世紀の国家ビジョンを探し求めていた時代である▲「脱亜入欧」の下、大国主義を基軸にグローバル化を進めたが敗戦。その出直しから欧米を追い越すまでになったが、バブルがはじけ、社会には悲壮感が漂った。そこからはい出そうと必死だった。天下国家を論じようと国会に党首討論が導入されたのもこのころだ▲そんな時代の空気を99年の自民党総裁選は反映した。小渕恵三首相が「富国有徳」を掲げ、挑戦者の加藤紘一前幹事長らは「坂の上の雲」への再出発を訴えた。ともに維新にちなんだ造語や歴史小説の題名だ。新たな国家目標を競う論戦が印象に残る▲安倍晋三首相が3選を狙って総裁選への出馬を表明した。「維新150年」を盛り上げるためか、山口が地元の首相が鹿児島で表明する組み合わせに薩長連合を意識したのかとの臆測も。だが、国民が聞きたいのは、日本の将来を描く設計図だろう▲人口減少が生む経済の収縮、少子化・超高齢化社会のひずみ、トランプ時代の国際情勢の激動……。きつい「坂の上」にどんな世界が広がっているのか。「先が見えない」と不安に思う課題を対抗馬の石破茂元幹事長と論じ合うべきだ▲維新後、日露戦争の勝利で日本は「一等国」になったと自負したが、国民は明確な目標を失った。次の国家像を描き、解決策を示す。その議論に耳を澄ませたい。

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