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マケイン上院議員死去

ベトナム体験 不屈の原点

 「理想に対する忠誠を共有していた」(オバマ前大統領)、「巨大なアイコン(偶像)、米国の英雄」(ゴア元副大統領)--。25日、共和党のマケイン上院議員の死が報じられると、対立する民主党の大物関係者らも次々、心情を込めた声明を発表し、悼んだ。

    党派超え「理想」貫く

     正しいと信じることは共和党の利益にならなくても敢行し、時に党派を超えたマケイン氏を、人は「一匹オオカミ」と呼んだ。2008年大統領選では、対立候補のオバマ氏について「外国生まれで立候補資格がない」とのデマが一部で広がった。マケイン氏は選挙集会で、このデマを信じる女性に対し「彼(オバマ氏)はまっとうな米国市民だ。政治への考えが私と違うだけだ」と諭した。17年7月、医療保険制度改革(オバマケア)を撤廃しようとした共和党の代替法案には反対票を投じ、オバマケア維持に貢献した。

     そのため、トランプ氏の支持者からは「裏切り者」と呼ばれて嫌われた。トランプ・グッズの店では、マケイン氏の顔を印刷したトイレットペーパーが売られていたほどだ。

     祖父も父も海軍大将という武人の家柄で、本人も海軍パイロットとしてベトナム戦争に従軍した。父が在欧海軍司令官だった1967年10月、ハノイ上空で撃墜され捕虜に。マケイン氏の素性を知った北ベトナムは「(米軍の)プリンスを捕まえたぞ」と喜んだ。その後、父がベトナムを管轄する太平洋軍司令官になると、北ベトナムは自国の人道的な扱いを宣伝するために早期解放をもちかけたが、マケイン氏は「自分より先に捕虜になった米兵を一緒に解放すべきだ」と主張して拒否。パリ和平協定調印後の73年3月まで獄につながれた。

     拷問は激しく、何度も腕を折られたため、後遺症で腕を肩より上に上げることができず、終生髪を自分でとかすことはできなかった。だが「他国で囚人になったとき、母国への愛に目覚めた」と語った。国のために尽くす不屈の精神の原点は、5年半の捕虜生活にあったのかもしれない。

     そんなマケイン氏に対し、古参政治家を目の敵にするトランプ氏は15年7月、「戦争の英雄じゃない。捕まったんだぞ。俺は捕まらないやつが好きだ」と侮辱した。17年10月、大統領の「口撃」が強まるなか、米テレビのインタビューで「トランプ氏が怖いですか」と聞かれたマケイン氏は笑いながらこう言った。「私はもっと大きな困難に直面したことがある」

     遺族はトランプ氏を葬儀に招かないという。マケイン氏は母校・海軍士官学校の墓地に埋葬され、戦友たちと共に永遠の眠りにつく。【ニューヨーク國枝すみれ】

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