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 3年前の天皇杯全日本選手権4回戦でのこと。延長戦の末、柏に敗れた甲府の佐久間悟監督(現ゼネラルマネジャー)が、自嘲気味に発した言葉に、思わず感心した。

     「ボールを持った時が最大のピンチ。数的優位はディスアドバンテージ(不利)」

     なぜ感心したかというと、主導権を握って攻め切ることの難しさと危険性について、言い得て妙の表現だったからだ。

     柏に退場者が出て、甲府は延長戦を11人対10人で戦った。通常ならば1人多い甲府が有利。しかし、甲府は柏の力が上と判断して、しっかりと守り、一瞬のスキを突く戦いをそれまで展開していた。数的優位を得たことで、それを変えざるをえなくなった。自ら攻撃に出ることを迫られたのだ。

     仕掛ければミスは増える。攻撃中にボールを奪われると、前線にスピードのある選手をそろえる柏のカウンターが脅威。案の定、終了直前に柏のクリスティアーノに決勝点を奪われ、佐久間監督が嘆くことになった。

     しっかりと守備のブロックを作り、侵入してくる相手を網に引っかけてボールを奪い、突破力のあるFWに預ける。例えば、広島はトップに馬力のあるパトリックを得て、全員のハードワークを基に、今季のJ1で首位を走る。

     違う道を目指す指導者、チームもいる。鬼木達監督率いる川崎をはじめ、ポステコグルー監督の横浜マ、前からプレスをかけていく曹貴裁監督の湘南などだ。相手を待ち受けるのではなく、自分たちから仕掛けてブロックを崩す、あるいはブロックを作る間を与えず、得点を狙う。

     以前は前者を「リアクションサッカー」、後者を「アクションサッカー」などと称し、前者を皮肉る向きもあった。どちらがいい、悪いというのではなく、ワールドカップで優勝したフランスのように、二つを使い分けられるチームが理想だが、これがなかなか難しい。

     J1の優勝争いはどちらのタイプに軍配が上がるのか。両者のせめぎ合いの中から、攻撃を仕掛け合うスリリングな試合が増えればいい。【斎藤雅春】

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